女神招来
第45話 ダンジョン生物愛護団体
「早川美乃里でっす!よっろしくー!」
「「「ウェーイ!」」」
「こいつらいつからウェーイ系になったんだ……?」
勇者選定デスゲーム開始から一週間が過ぎた。
初日で早川さんが29層まで辿り着くというさすがに少し予想外だったこと以外は概ね順調──と、いうこともなく、三日目にしてようやく早川さんがクリアして以降、全くクリア者が現れなかった。
全員が全員、ラスボスに設置したゴーレムバルバ○スの必殺技に、腹筋がやられてそのままゲームオーバーという流れが続きに続きまくり、途中で調整も行っても、クリア者は結局早川さんしか現れなかった。
なんでやねん。
まぁ現れなかったものは仕方ない。じっくりと早川さんを虐めぬ────ゲフンゲフン。鍛え上げるとしよう。
「あれ、なんか異様な寒気が……」
デスゲーム会場に使ったあのダンジョンは、今後は主に『魔石』を収集するダンジョン探索がメインの職業である『冒険者』というものが出来るので、それの訓練所という役割を持つことになる。
最近、魔石が電力やガス、ガソリン等────さすがに水は無理だったが、インフラ設備の代わりになることが判明したため、魔石の需要が爆上がり。今まで俺は放置していたので少しだけ怒られた。
「雑談中失礼するぞ」
「あれ、須貝さんじゃん」
「すまんな。少し厄介な事がな……」
何だか凄い久々に見る気もする須貝さんなのだが、眉が八の字になっていて困っている様子。もしかしなくても外で騒いでいるヤツらのせいだろうなぁ。
「あ、私ここに来る前にちょろっと見たけど、もしかして皇居入口でデモやっている人達のこと?」
「そのもしかしてだ早川。奴ら、ダンジョン生物愛護団体というのを名乗っていて、『勇者たちのダンジョン攻略を辞めさせろ!』と声を出していてな」
「それ最早魔王側の行為だろ」
「あのトンチキ集団か……」
俺の公式ツブヤキテーアカウントにも突っかかってきた変人集団か……。
「俺が対応する」
「いいのか?」
「あぁ────見せしめには丁度いい実験体だ」
厄介で、害にしかならない奴らは、早めに決しておくに限る。転移魔法を発動させ、トンチキ集団の目の前に舞い降りる。
「勇者達にダンジョン攻略を今すぐ辞めさせろ!」
「ダンジョンの生物達にも生きる権利はある!」
「今すぐに皇居の前から去りなさい!」
「指示に従わない場合、公務執行妨害として貴方たちを────」
「大丈夫だ。下がれ」
「────!御神楽さん!」
警備の人の肩に手を置いて下がらせる。俺が出てきたことにより、トンチキおばさん集団達は一気に静かになった。多分、俺がわざわざ出てくるとは思ってなかったのだろう。
「お前たち、世界唯一の皇帝がいる家の前で、何をそんなに騒いでいる?用件だけは聞いてやろう」
「「「「「…………………」」」」」
あ?何こいつら、全然喋らないじゃん。さっきまでの勢いはどこに行ったんだよ。
「わ、私たちはダンジョン生物愛護団体よ!勇者を騙る殺戮者め!今すぐにダンジョンを攻略するのをやめて、動物を無闇に殺すのはやめなさい!」
「お前バカ?こっちが何もしなかったらいずれこの世界はダンジョンの魔物に飲み込まれ、滅亡するんだぞ?そんなことも分からんのか」
ダンジョンの脅威も、魔王の恐ろしさも分からないトンチキ共。まだ何も分からないから、そんな呑気なことが言えるんだ。
さてさて、一体誰に操られているのかな?
「じゃあなんだ、お前たちは何もせず、このまま魔王にこの世界が蹂躙されるのがお望みなのか?」
「そんなこと言ってないわよ!ただ、私たちは動物を殺すのを辞めなさいと────」
「お前、あまりダンジョンを舐めるなよ」
圧を出して無理やり黙らせる。本当に、コイツらは何も分かってない。
ダンジョンに生み出されている魔物は、魔王の力がダンジョンにある限り、奴の手下だ。人を見かければまず殺すようになっているし、殺すのを躊躇っている場合などない。
「アイツらは、真っ先に人を────女神に属する勢力を殺そうとする殺戮マシーンだ。殺さないなんて有り得ない」
「そ、そんなの分からないじゃない!誠心誠意話し合えば、きっと彼らも分かってくれる────」
「ふーん?じゃあ実践してくれねぇか?」
「────え?」
指をパチンと鳴らして、おばさん達を囲むように魔法陣を展開させる。
「俺さ、異世界でも魔物と心通わせたヤツ、一人も見たことねぇんだわ────だから証明してくれよ。お前らで」
この魔法陣には転移の魔法が刻まれている。行先は、かつて俺がRTA配信をした『蟒蛇の迷宮』
「そこまで言うなら、自分たちで出来ると証明しな。それが出来たら、潔く攻略を辞めてやるよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お待たせしました。VRChatにうつつを抜かしまくり、更新をサボ──げふんげふん。取材に行っていたので遅くなりました。
いや、アレマジで楽しくて……沼にハマっちゃうよあんなの………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます