第36話 コンタクト
「とまぁ霧矢弄りは置いておいて、デスゲームの構想だよ構想」
武器庫にアクセスして、模造紙を取り出す。そこには、今回舞台となる予定のダンジョンの見取り図が既に書いてある。
「これ、どこ?」
「香川のEランクダンジョンだな」
「何で香川?」
「聖地巡礼ついで」
「ゆゆ○か貴様」
レッツエンジョイ!カガワラーイフ!冗談半分として、このダンジョンはEランクの癖に、なんでか中ボスは4体いたし、階層も50とかなり多い部類に入る。
ここを当日のデスゲーム会場にしようと思う。移動手段は、招待状とかに仕込ませればいいし、遠方だから行けないという悲しいことも無い。
「ダンジョンを利用するのはいいけど、モンスターはどうすんだよ。あれ自然発生するんだろ?」
「フェイルノートに頼みこもうかなって」
「あの女神様?加護付けようとしてたけど消えたじゃん。どうやって会話すんの?」
「そりゃ魔法でちょちょっとね」
一度触れ合ったし、彼女の魔力は覚えている。シャディアだったら時間を掛けたらどれだけ遠い場所でも魔力を繋げて、存在を感じ取れることが出来るが、俺はせいぜい太陽系までが限界だ。
だけど、その範囲にいれば探せば存在を感じ取れる。居場所はさっき発見した。あとはそこ目掛けて魔法を発動させて────ほいっと。
空中にウィンドウを表示する。すると、ラフな格好をしたフェイルノートが、体育座りで何やら空中に向かって指を動かしていた。
『むむっ……この中国っていうところ、少し魔王の力が強くなってきてるわね……日本には勇者様がいるし、そこからちょっと持ってきて、守りを強固に────』
「ハローフェイルノート。聞こえてるか?」
『ちょっと待ってね。今モンスターが地上に溢れないようにやりくりを────へ?』
パチクリ、と画面越しに綺麗な水色の瞳と目が合う。まだ状況を理解していないのか、ぱちぱちと何回か瞬きを繰り返している途中に、ふりふりと手を振ってみる。
『…………きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
「耳ないなった」
みるみるうちに顔が真っ赤になると、ドンガラガッシャーン!と音を響かせながら画面からフェードアウトした。大声に、どうやら直樹の耳がやられたようだ。
『ゆ、ゆゆゆ勇者様!?どうして!?』
「いや、前会った時にしっかりフェイルノートのことを覚えたからな。少し相談したいこともあったし、こうしてコンタクトをだな」
『ちょ、ちょっと待って!嘘でしょ嘘でしょ!勇者様には一番可愛い状態を見てもらいたいのに!』
「愛されてるでござるなぁ」
「流石クソオンナタラシ」
「マジで特攻(神)ってなんだよ」
普通特攻とか聞いたら与えダメージとかそこら辺想像するだろ。自分でスキルとか見ることが出来ない分、そこら辺が不自由すぎる。もっとステータス画面頑張って。
ドタドタ!と慌てている様をウィンドウ越しに聞きながら四人で待つ。
『……よし、これで大丈夫……ごめんなさい勇者様。少し取り乱したわ』
「少し?」
「だいぶ慌ててたのは気のせいか?」
『そこ外野!黙ってなさい!』
「「うぃーす」」
緊張感ねぇなコイツら。神とは初対面なんだろ?流石の俺ですら、シャディアと初めてあった時は緊張したのに。
『ゴホン!それで勇者様、どうしたの?』
「フェイルノートに頼み事。このダンジョンだけどさ、モンスターがポップしないように設定することできるか?」
『出来るわよ?でも、それをしてどうするの?』
「実はだな────」
フェイルノートにも、霧矢達にした説明と同じこと言う。
『……なるほど。勇者選定にダンジョンをデスゲームの会場に……いいわよ、アイデアを送ってくれれば、私がその通りに改造してあげる』
「え、いいの?」
『もちろんよ!その代わり……早く、迎えに来てくれると嬉しいわ』
「そこを担当してくれるなら、色々と予定を前倒しに出来るな」
ダンジョンの罠設置は俺たちがやる予定だったからな。そこを丸々フェイルノートに投げれるなら、SSダンジョン攻略の日を早くできる。
「ありがとうフェイルノート。すぐに迎えに行くから、待ってろよ」
『…………うん♡』
「あれ、なんか今クリティカル入らなかった?」
「これが素なのか、はたまた狙ってやっているのか……謎でござるなぁ」
「あれは素だぞ。特攻(神)で更に上乗せも入ってると思うけど」
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特に誰に見せる予定もないのに、ビビデバの足ステップを練習し出す男。
ふーん、あの動きチャールストンって言うんだ~。初耳
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