第35話 愛犬について
今年の四月に犬を飼うことになったのですが、キャスパーと名付けました。エッセイに書いたので覚えていらっしゃる読者様もいらっしゃるかもしれません。
当時四ヶ月だったキャスパーは、来月で一歳になります。成犬の仲間入りです。早いものですね〜。
キャスパー、全力で私が好きです。自慢でも誇張でもなく、キャスパーが世界一好きなのは私だと思います。MISIAさんの歌で「You're everything」ってありますけど(古くてすみません)、キャスパーにとって、「I'm everything」だと思う時があります。
毎朝、ロフトベッドから降りてくると、アイドルがステージから降りてきたような勢いで、熱烈歓迎してくれます(←この話は前にも書いたかもしれません)。仕事から帰ってきたときも同じです。
私が家にいるときは、だいたい私の一メートル以内にいます。私がトイレに行けばトイレまでついてくるし、キッチンで料理をしていると、キッチンでお座りをしています(←ジャマ)。
まだまだ子犬だった頃は、「ママのそばにいないと不安」みたいな感じだったんですけど、最近は「ママは全力で僕が守る」みたいな様子になってきたんですよ! そんな扱い、生まれて一度も受けたことがないのでキュンキュンです。
夫や子どもたちのことも好きですが、私に対する愛情の熱量を10だとすると、娘に対しては7、息子に対しては5、夫に対しては3くらいです。知らない人にいたっては、吠えたり逃げたりしてマイナスなときもあります。キャスパーが初対面でも好きになる人もいますが。
夫も子どもも散歩をしたりご飯をあげたりしているので、なぜキャスパーがここまで私を好きなのか、本当に謎です。犬のトレーナーさんに聞いてみたところ、「犬はランダムに人を選ぶんですよねぇ」とおっしゃっていたので、まあ、理由などないランダムな選択だったのだと思います。
そんなキャスパーに、私もメロメロなので相思相愛ですが、自分で犬を飼い始めてからというもの、世の中の犬が全部かわいくなりまして。
その中でも、やっぱり自分の犬に似ている犬をより好むようになりますね。そういう飼い主、多いですよね。チワワ飼っている人はチワワ好きだし、グレイハウンドの飼い主はグレイハウンド好き。それが人情ってもんでしょう。
キャスパーは雑種の大きめの中型犬(体重は約20キロ)。オーストラリアのノーザンテリトリーからやってきた保護犬です。ノーザンテリトリーは野犬が多く、「キャンプドッグ」と呼ばれてるんですが、キャンプドッグの生活はかなり過酷。病気や飢えで早死にする犬も少なくありません。
キャンプドッグはそんな過酷な環境を生き抜いてきたサバイバーなので、基本的に体が強く、なんでも好き嫌いせずに食べて、何を食べてもお腹をこわすことがあまりありません。
さらには、社会性があって賢いそうです。キャンプドッグから生まれてきたキャスパーも、丈夫で社交性があって賢いと思います(←飼い主バカ)!
キャスパーを飼ってから知ったのですが、キャンプドッグ好きの人は案外多く、散歩をしているとよく見かけます。キャンプドッグの飼い主同士、お互いの犬を褒めちぎりあったりします。
「犬種はなんですか? キャンプドッグ? やっぱり! 通りでハンサムな顔してると思ったわ〜」みたいな感じで。
キャンプドッグは、レスリングが好きで、体格や性格の合う犬に会うと、かなり激しめに遊びます。キャスパーも御多分にもれず。しかもまだ若いので、思いっきりレスリングができる相手に出会えると、大喜びで遊びます。
レスリング好きじゃない犬もいるので、「そういう遊びは嫌いじゃ」という犬には挨拶だけで終わります。犬同士、ちゃんとわかるのがすごいなと思います。
というわけで、キャスパーと体格が似ているレスリング好きのキャンプドッグを見かけると、やったー! と思います。
自分が飼っている犬次第で、犬に対する見解がかなり違うだろうなと思うんですよ。例えば、私が初めて飼った犬が華奢な小型犬だったら、中型犬より大きい犬は、「かわいい」よりも「怖い」と思うようになったかもしれません。
キャスパーがやっすいドッグフードもガツガツ食べる食いしん坊なので、「犬はなんでも食べる」とついつい思ってしまうんですが、食の細い犬を最初に飼ってたら、「犬は食わず嫌いがひどい」と思ってたかもしれません。
もし穏やかな性格の犬を飼っていたら、レスリング好きの犬は「乱暴でウザい」と思っていた可能性もあります。
私はキャンプドッグが一番好きですが、小型犬でも大型犬でも、犬はみんなかわいいと思います。
大人になって初めて飼った犬が、雑種で中型でレスリング好きのキャスパーだったので、だいたいどんな犬も「かわいい」と思うようになったのかもしれないなーと思ったのでした。
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