第14話 ポジティブオンリーな指導者
息子のサッカーチームがそこそこ上手く、毎週日曜日に近所のサッカーチームと試合があるんですが、ほぼ負け知らず。
スキルのない小さい子ども達の試合も、見ててかわいいんですけど、上手くなった子どもたちが、大人がびっくりするようなチームプレイに成功すると、感動しますねぇ。
息子のチームは、ここ数年すばらしいコーチに恵まれまして。今のコーチの「すごいなぁ」と思うところは、とにかくどの子も褒めまくるところです。
褒め方から、「ちゃんと一人一人を見てるなぁ」というのが伝わってきます。
「○○(←子どもの名前)、今のクロスパスは最高だった!」
「△△、いい守りだ、その調子で最後まで行け!!」
「××、さっきのシュートはすごかったな!!!」
(試合の経過とともに増加していく声量をビックリマークの数で表現してみました)
という感じで、ピンポイントで熱く褒めます。失敗しても、「グッド・トライ!」と挑戦したこと自体を褒め、誰から見ても凡ミスで、本人が「あっちゃー」て顔になっている時は、「バッド・ラック(運が悪かった)!」と力強く叫びます。これには子ども達でさえ「いや、違うやろ」と苦笑いです。
コーチのおかげで、誰の失敗にも寛容な雰囲気がチームの中で出来上がっていて、みんな失敗を恐れずに新しいことに挑戦しやすく、失敗した後の切り替えが早いなと感じます。
サッカーのようなチームスポーツってメンタルの部分が大きいので、息子のチームの強さは「コーチが超絶ポジティブなこと」に起因していると言っても過言ではありません。
今年に入って私が参加している合唱団の先生も、ポジティブなことしか言わない方です。お名前はフィア(Phia)さんといいます。
新しい曲を練習するとき、音程やリズムが大幅に合っていなくても
「さっきの、とても良かったわ。でも、最後のほう、不穏な響きが聞こえてきたんだけど……」と冗談を言って笑いを誘い、「じゃあ、最後のほうだけもう一度」と練習を重ねます。
毎週のリハーサルの中で、最低でも五回は「今の最高! なんて美しいの……」などと褒めちぎります。いやでも、けっこう本気で言ってるっぽいんですよ。
数週間前に、プロモーションのために二曲だけ合唱を動画に撮ったんですが、撮影の時も「間違っても気にしないで、楽しんで」と言われました。
オーディションなしの、ふつーの大人の集団ですから、個人個人の歌唱力は大したことありません。さらには、私の左隣で歌っていた方が、音程もリズムもズレてて、正直「う……、歌いにくい」と感じました。自分のことは棚の高いところに上げてますが(笑)。やっぱり、上手な人の隣のほうが歌いやすいですよね〜。
でも、その方、めちゃくちゃ楽しそうに歌われるんですよ。先生が「間違っても気にしないで」と言う方なので、歌うほうも、自分の間違いにも他人の間違いにも、寛容でいられるんですよね。
そういう、「みんなの気持ち」みたいなものが、一番音楽性に表れるのかなと思います。
フィア先生、この合唱団をパートナーのジョシュアさんと二人でやっていらっしゃるんですけど(結婚してらっしゃるのか事実婚なのかは不明)、二人とも元々はインディーズのミュージシャンとして活躍していらっしゃいました。
最初は、フィア先生が自宅にお友達を二十人くらい集めて、好きなインディーズ音楽の曲を合唱で歌ったことが始まりらしいです。たぶん、その当時も今も、インディー・ミュージックの合唱って、珍しいんじゃないんですかね。
それがすごく評判を呼んで、地元のお祭りなんかで数曲披露するようになり、今ではメンバーが400人を超える大合唱団。毎年三千人を集客するコンサートを開くようになりました。
ご存じのように、ミュージシャンって、どんなに才能があって努力を重ねていても、音楽だけで食べていける人はほんの一握り。
食えていけるかどうかというのは、アーティストしての実力がどれだけあっても、運や商才やコネなどに大きく左右されるのだと思います。
ミュージシャンだけでなく、クリエイティブなお仕事をしている人全般に言えることかもしれませんが。小説家とかね(笑)
フィア先生は、合唱団が当たって、いいビジネスモデルを確立したことで、音楽だけで食えるようになったんじゃないかと思います。
フィア先生、二人目のお子さんを妊娠していらっしゃって、いつ生まれてもおかしくない臨月です。
フィア先生一家が、二人の子どもを育てていけるくらいの収入を、合唱団で得ているってのが、またいいなぁって思うんですよね〜。
フィア先生のキラキラ輝いている笑顔と、フィア先生の横で静かにニコニコしているジョシュアさんを見ていると、「これで食ってるってのがすごいことだな」と思います。
音楽的な才能に恵まれているだけでなく、人一倍努力をされてきて、私みたいな普通の会社員が負わないようなリスクを負ってきたからこその人生ですよね。
もちろん、私たち合唱団のメンバーには見せられない裏事情やご苦労があるのだと思いますが、「こんな生き方もあるんだなぁ」と羨望の眼差しを向けてしまいます。
さて、そんなステキな合唱団の動画に、なんと私もチラチラっと出演することができました。リンクはこちら
https://youtu.be/8PUq8UVJJX4?si=FHADOFCSnGGMshdI
「暇で暇でしかたがない」という稀有な方がいらっしゃったら「かしこまりこを探せ」をやってみてください。なんの得にもなりませんが! みなさん、お忙しいと思いますので、しなくていいですよ(笑)。
でも、合唱自体はとてもすばらしいと思うので、ご興味のある方はぜひみてください。
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