第7話 山田の思考世界

季節は巡り、夏。

「次代の椅子取りゲームに、続々参加する俺の同級生たち、のガキンチョ!

いや~、こわいねぇ!」

もう一人のひきこもり、否、筋金入りのヒキコモリと化した山田 輔(たすく)。

外見が完全に「おっさん」と化した23歳の山田は、タンクトップ姿でうちわを仰いでいた。

「暑いッ!実に暑いッ‼」

我思う。我、何も知らない。あれ以来、立華がどうなったかすら知らない。

同級生の情報が何も入ってこない。だが、最近思うんだ。それでいいと。

「なんかな~、知らない方がいいってこともあるよな。きっと。」

ようは、俺の時間は止まっているんだ。中学で。

「壊れた時計」をもって、刻々と進む現実を生きている。

「いやー、みんな、なにやってんだろ?でもなぁ。よくよ~く考えると、

俺、あいつらとたまたま育った地域が同じで同級生になったってだけでよ。」

────「同級生って、言うほど大事な関係か?」

だがしかし、何年経ってもそこから離れられない俺っていったい…

「あ~もうやめやめ!この話、終わり!」

畳にゴロン。学校からどろん。

────ひぐらしが鳴いている。ふと気づくと、もう夜の直前だった。

「いてて、変な姿勢で寝ちまった。ふあ~あ。」

なんか、小腹が空いたな。

久しぶりに外出て、焼き鳥でも買ってくるか。

俺はサンダルを履いて、外に出た。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る