第5話

 実家で、メダカを飼育している。昨年他界した父の遺品なので、家族で大事にしている。特に、実家に住んでいる妹が、メダカリーダーになり、いろいろと研究しながら、育ててくれている。「はまっている」と言ってもいいくらいだ。

 先日、妹と一緒に、車で一時間程の所で行われる「メダカ祭り」に行ってきた。子供がたくさん来るイベントかな?と思っていたら、大人の方が多くて、皆さん真剣にメダカを吟味していた。値段を見ると、一匹千円くらいから。高い物だと○万円という物もありビックリした。錦鯉か?と思った。

 メダカの種類もさまざまで、ラメ入り、スケルトン、赤と白と黒のまだら、真っ黒、真っ赤。私からしたら区別がつかないくらい似ていても、名前(品種?)が違っていたりする。お店の方とお客さんの会話が聞こえてくるが、専門用語が飛び交っていて、不思議な世界だった。でも、キレイなメダカや、可愛いメダカがたくさん見れて、楽しいと思った。妹は、楽しみにしていたメダカすくいに挑戦していた。一回2000円もするが、長蛇の列で、1時間待ちだった。最低でも10匹は頂けるらしい。妹は、気に入ったメダカをポイポイすくっていた。

 先着200名の抽選会もあり、妹と一緒に参加した。妹の抽選券は87番。私は111番。ぞろ目だ!何か良い感じ♥と思っていたら、メダカの雄雌のペアが当たった。「ハイビスカス」と言う品種らしい。発表があった時、主催者の方の「お~!!」と言うどよめきが聞こえたが、何でだろう?と思っていた。そのメダカを見た妹が、直ぐにスマホで調べたら、昨年の品評会で一匹80万円の値が付いたメダカらしい。「え~、じゃあ、2匹で160万!!」と驚き、怖くなった。そんなメダカをもらっちゃって良いの~!と。今は、値段が下がっているらしいが、それでも1匹15000円もするらしい。妹に「頑張って増やしてね」と託した。

 メダカ祭りを堪能した後、妹が、兼ねてから行きたいと思っていたメダカの無人販売所へ行く。2軒。2軒とも、欲しいと思うモノはなかった。その後、対面で販売している方の所へ行く。こちらは、広い敷地に水槽とビニールハウスが設置されていて、さまざまな種類のメダカがいた。店主さんは、品種改良されているそうで、博識で、こちらの質問にも丁寧に答えて下さり、飼育方法などを伝授して頂いた。妹は、ここで何匹か買っていた。私は、水槽の中のたくさんのメダカ達を見ていた。桜の花が舞い散って、水槽に浮かんでいて、メダカと桜のコラボがキレイだった。

 帰りに、ミニストップで冷たいデザートを買って食べ、時々、後部座席にいるメダカの様子を見ながら、帰途についた。

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