第43話 空を自在に飛びたいな
それは今から三日前。
「パパ―
自由、日記帳がほしい」
「日記帳?」
「うん!
書いたら願いが叶う日記帳」
十三は首を傾げる。
「へぇ?そんなのあるんだ?」
「ドラえもんであったんだー
書いたことが事実になる日記帳。
あとDEATH NOTEでもやってたー
そこに名前を書いたら死んじゃうんだってー」
「……そんなモノは存在しないよ」
「え?ドラえもんは嘘をついているの?」
「ドラえもんはいないよ?」
「そんなことないもん!
パパはほんやくコンニャク作れるでしょ?」
「食べ物は専門外だけど、翻訳機なら作れるよ?
でも、何でも叶えるポケットは作れない」
「パパの嘘つき!
パパ、無限ポケット作ってるじゃん!」
「無限ポケットの行き先は四次元じゃないよ」
「似たようなものじゃん。
タケコプターもパパなら作れるでしょ?」
「作れない」
「パパともあろうものが……
首だけが飛んでいくとか言わないよね?」
「あの大きさの竹の強度では空気抵抗に耐えれないよ。
しかもあれ、バッテリーで動くでしょ?
どこからその充電を補うか……
なかなかの問題だよ」
「パパの嘘つき!
パパが装備している、アンバランサーは空も飛べるしバリアもできるしビームもでるじゃん!」
「そ、そうだけど……」
十三は負けそうになっていた。
だから汚い手を使う。
「自由、無限ポケットこの間の遠足で持っていったでしょ?」
「あ、話を逸らすの?」
「そうだよ。
バナナを三房も持っていって……
無限ポケットの概念のわからない先生からしたらバナナ三房は重いでしょ?って怒られたんだからね!」
「バナナは、お友だちみんなで完食したよ」
「分け合ったんだね、自由は偉いね」
十三は話を逸らすことに成功した。
「だ・か・ら!
日記帳を頂戴!」
「……」
まだ勝負は付いていなかった。
普通の日記帳なら買い与えることは出来る。
だけど願いが叶う日記帳なんて作れない。
そもそもどういう原理なのかわからない。
「じゃ、この不思議なメモにパパを感動させる内容をかけたら考えてあげるよ」
十三はそう言って減るはずのない紙の束を自由に渡した。
自由は、少し腹を立てた。
ざんねんなおしらせ。
このものがたりはここでおわります。
りゆう、ばななはおやつにふくまれないとりっしょうされているのに。
ばななをみふさもっていったら、ようちえんのせんせいにしかられたからです。
なのでももちは、ゆうしょうできません。
はじめは、ぱんつをみただけではなぢぶーです。
きっとおとうさんもぱんつをみただけで、はなぢぶーです。
ももちはなぐられてはなぢぶーです。
みんなはなぢぶーで。
みんないい。
ぶーぶーぶーぶー。
自由は、そこまで書いたところで疲れて眠った。
メモ帳は、ヒラヒラと床に落ちた。
十三はその間、明日の自由のお弁当を作っていた。
その時、百道からLINEが来た。
【明日、軽音部の入部届けをくれ。
斉藤に頼まれて軽音部に入ることになった】
「マジか。
入部届、自由にあげたばっかじゃん。
バレないように1枚抜いてやろう」
十三は、リビングで眠る自由の足元にある軽音部の入部届をこっそりと持っていった。
「……ミッションコンプリート!」
十三は裏も見ずその入部届を百道に渡したのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます