第13話 愛よララバイ

突然始まったお葬式。

それは絶望しかありません。


泣きわめく生徒たち。

悲しみに暮れる生徒たち。

ケラケラ笑っている生徒たち。


十人十色。


悲しみは人それぞれ。


ただそれだけで一はひどく落ち込む。


「……」


無言で悲しむ一。

側で泣くみさき。


なによりも悲しいのは。


美姫の姿も。

護の姿も。


骨壷に入っていたからだ。

遺体の損傷が激しく。

見られる状態じゃなかったためだと皆は、説明を受けた。


それで納得できたわけじゃない。

納得もしたくない。


そう。だって世界は優しく残酷なのだから。


一はふと気づいてしまった。

美姫への気持ちが揺らいでいたことに……


自分のジンクス。


【好きな人は別の人としあわせになる】


しかし、一はマイナス系のジンクスを持っていた。


【好きな人への気持が無くなったらその人に不幸が訪れる】


一はそれに気づいたとき。

ただひたすら罪悪感を感じていた。


そして罪悪感を感じていたのは一だけではなかった。


「ああ……」


みさきが自分の部屋で泣き崩れる。


「私が好きになってしまったからだ……私が……」


みさきもジンクスを持っていた。


【自分が好きになった人は死ぬ】


それは、強力なジンクスだった。


「だからあの人も……」


みさきの涙は止まらない。


「だったらあの人も――」


でも好きの気持ちは変わらない。


「でも嫌われたくない」


避けようと思っていた人への憧れ。

思ってしまう人への気持ち。


みさきはただただ泣くしか出来なかった。

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