第8話 夢は大きく希望は高く

「近くに寄ったからって来るものなのか?」


護はそういって苦笑いを浮かべる。


「寄る寄る!どこだってお姉さんついていくよ!」


「そ、そっかー

 じゃイケナイ場所にもついてきますか?」


一の言葉に美姫とみさきが驚く。。


「おいおいセクハラだろ?」


「そうなの?」


一は首を傾げる。


「いや、だってねー」


美姫の顔が引きつる。


「ちなみに一くん。

 君の言うイケナイ場所って?」


「うーん、宇宙?」


一の言葉に美姫がため息を吐く。


「そんなことだと思った」


「物理的に行けない場所でしたか……」


みさきは少しだけ安心した。


「月までならスペースシャトルチャーターして付いていくよ。

 火星とかはお小遣いで行けないからごめんなさいかな」


葉月はそういって笑った。


「ちなみに先輩のお小遣いって幾らなんですか?」


一は葉月にそう尋ねた。


「4500円」


「……そのお小遣いで月行けるんですか?」


「月は入会金100円からだよ。

 入湯料は300円」


「温泉?」


美姫が尋ねる。


「健康ランドのムーンだよ?

 マッサージの月までコースは500円。

 火星までコースは1500円。

 私の夢は木星コース3000円!」

 


「……」


テンションが上がる葉月にテンションが下がる一たち。


世界は明るく丸い。


「でも欲を言うなら冥王星コース!15000円!」


葉月のテンションは止まりまらない。


「お?南、どうしてここにいる?」


国語の担任が葉月に尋ねる。


「あ、授業忘れてた」


「……クラスにもどれ」


「はーい」


葉月は元気よく返事をすると教室から離れた。


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