第6話

わたしは、あなたに気持ちを伝えようと決意したその日にメッセージを送りました。

「少し話したいことがあるの」

人に自分の思いを伝えることは、何度か経験したことはありますが慣れないものです。心臓の音が部屋中に鳴り響いているようでした。

メッセージを送るとすぐ、あなたから電話がかかってきました。わたしは臆病なので、ストレートにあなたに好きだと伝えることが出来ませんでした。遠回しに、伝わるか伝わらないかの言葉で告白しました。あなたはそんなわたしの気持ちを分かってくれました。

あなたから返ってきた言葉は、「今の俺には、付き合うというひとつの約束事をできる気がしない」ということでした。あなたは何度も言いました。「ほんとに、君は何も悪くないんだよ。君はいいんだよ本当に、君に落ち度があるわけでもないし、前の恋人を超えられないからでもない、魅力を感じないわけでもない。」そう言いました。

あなたの言葉を信じてないわけではありません。でも、あなたにとってわたしは、大した存在では無いのだろうと悟りました。

わたしの存在は、あなたにあってもなくても、なんの問題もないのです

わたしがもし、もしも明日死んだとしても、あなたの日常は変わらず、今までどおり日々を過ごしていくのです。そんなちっぽけな存在だと、そう思いながらもあなたにわたしの気持ちを伝えたかったのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る