第31話 新しい友だち(改稿)
———何だよこれ。
俺は1人ポツンと教室の端っこの席に腰を下ろして頭を抱える。
そんな俺を少し離れた場所からクラスメイト達がコソコソと何かを話しながら見ていた。
それはまだいい。
問題は……。
「———あ、あの……」
「は、はひっ!? な、何でしょうか!?」
「あ、いや……何でもないです……」
…………。
「あ、あの……ちょっと———」
「(逃走)」
———俺が話し掛けたら何故か物凄く恐れられるのだ。
既に5人くらいに話しかけてみたのだが……全員が全員マトモな会話にすらならなかった。
何なら話し掛けるのが5人で終わっているのは、皆んな俺が視線を向けた瞬間に露骨に目を逸らして逃げていくからだ。
いや流石に傷付くんだけど……こういったハブる的な攻撃って俺のメンタルの弱点なんだよ。
何なら俺って皆んなを危機から救ったから普通人気者になるはずなんだけど……。
俺が今の状況に不満を持っていると……1人のボーイッシュな黒髪に日焼けした肌という令嬢にしては異質な少女がケラケラと笑いながら俺の隣りに来て机の上に腰を下ろす。
「いやぁ〜〜随分と敬遠されてるね〜〜?」
「……どちら様ですか?」
「そんなことより何でこんなに敬遠されてるか教えてあげようか〜〜?」
「……え?」
「あ、やっぱり聞きたいよね〜〜? しょうがないな〜〜仕方ないからこの私が教えてあげるよ!」
ボーイッシュな少女は俺の質問を無視して自分の話を勝手に進める。
何か少し腹立つなコイツ……と俺はイラッと来るが、実際、敬遠されている理由は知りたいのでぐっと我慢して話を聞くことにした。
そんな俺の様子にニヤニヤと笑うボーイッシュな少女は俺の耳元で囁く。
「それはね———君がレティシアの婚約者になったからだよ〜〜?」
た、確かに……!!
俺も逆の立場になったら100%関わりたくないわ。
俺はその言葉を聞いた瞬間に大いに納得した。
今でこそ何故かレティシアは俺にデレデレだから忘れがちだが……レティシアの通り名は『冷酷無比の令嬢』だ。
始めの俺の様にレティシアの機嫌を損ねたなんてことがあったら、死刑も視野にいれるくらいには大問題に発展するだろうと恐るなど当たり前のこと。
「しかも君は生徒会長を倒すくらいの強者だから、何か機嫌が悪くなるようなことをしでかしたら自分の人生が終わるとでも思っているんだろうね〜〜?」
「うわっ……こう思ったら俺、超絶特大級の地雷でしか無いやん」
「そういうことだね〜〜」
さっき話しかけた皆んな……ほんとごめんな。
こんな超絶特大級の地雷が話し掛けてきたら速攻で逃げるに決まってるよな。
そう思いながらも、自分が超絶特大級の地雷だと自覚して酷く落ち込む。
そんなどんよりとした空気を纏う俺を見て、ボーイッシュな少女がケラケラ笑いながら背中をバシバシ叩いてくる。
ちょっ……普通に痛いんだけど……。
「まぁまぁそんなに落ち込むなよ〜〜? 私が友達になってあげるからさ〜〜同じ子爵同士仲良くしようよ〜〜」
「マジで!? よしっ……これでボッチ脱却だ……! 後になってやっぱり友達にならないとかいうの禁止だからな! そんなことになったら間違いなく引き籠りになる自信しかない」
俺がそう言うと、少女は一瞬驚いた様に目を見開いた後で噴き出すように笑った。
「あははははっ!! そんなこと言わないよ〜〜! あ、私の名前はマイカだよ〜〜」
「俺の名前はアルトだ。これからよろしくマイカ」
「よろしくね〜〜アルト」
こうして俺は学園で初めての友達をゲットした。
同時に、このことを後悔する時が来るなんて微塵も思っていなかった。
「———いや、気まずい気まずい」
「あはは〜〜まぁ流石に私もあの空間にいるのは無理かな〜〜?」
昼休憩。
俺とマイカは、教室を出て昼ご飯を食べる場所を探していた。
因みに何故教室を出たのかというと……。
「———あんなに意識されたら気になって食べ物も喉を通らないって」
あまりにもクラスメイト達がビクビクとして俺達の方に意識を割くから俺達も俺達で気になって気になってしょうがないのだ。
それでこれだとお互いにマイナスなことにしかならない……ということで俺達が教室を出ることになった。
「出たはいいけど〜〜何処に行くの〜〜?」
「いや俺に聞くなよ。自慢じゃないけど、俺は禄にちゃんと学園生活を送ってないんだよ」
「ホントに自慢じゃないね〜〜」
「う、五月蝿いやい! これには深い訳があったんだよ!」
俺がこれまであったことを話して弁明するも、マイカは『本当かなぁ〜〜?』とあまり信じてくれていない様子だった。
全部本当なのに……あ、そうだ。
「俺、1つだけいいところ知ってるかもしれん」
「え、なになに? 気になるな〜〜」
「いや校舎裏なんだけどさ……あそこ全然人が居ないらしいんだよ。だから俺があそこに行けば変な注目も浴びないかなって」
それにこんな感じで口実を作っておけば、俺がアリアのイジメを偶々見たという嘘も真実味が帯びること間違いない。
我ながら完璧な案だ。
俺がそう自負していると……マイカが俺から少し離れて自分の胸を手で隠す。
「なるほど〜〜つまりアルトはそこでレティシアという婚約者がいながら、私といかがわしいことでもしようっていうんだね〜〜? アルトはえっちだなぁ〜〜」
「ち、違うわ!! そんなこと誰がするか! 俺はただ純粋にそこだと周りの目を気にしないでいいからマイカも楽かなって……!!」
「あははは〜〜分かってるよ〜〜ほら、それなら善は急げって言うし早く行こ〜〜」
「あ、腕掴むな! それに引っ張んなよ!!」
俺はマイカに引っ張られてコケそうになりながら、校舎裏へと向かった。
「…………ふぅ……ん、第一関門は突破した」
『そうか……良くやったマイカ。引き続き我が国への勧誘を遂行してくれ』
「ん、了解」
マイカは剥がれそうになった顔の薄い特殊なマスクの下の、真っ白な素肌を隠すように口元に手を当てた。
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ころころと変えてマジですまん。
次からは少し遅れても、もっと納得いってからあげるわ。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!!
モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォ
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