長命寺を思う

シキウタヨシ

墨堤




春一番

より春一番らしい嵐が吹き荒れ

冬はとうに行ってしまったってのに

忍び寄る寒さに

ぼくは冬を反芻してしまう

さんかんしおん

と唱えてみても

ぬくい日のことは思い出せず

四月に降った雪のことを思い出す

早春賦も

これじゃまだ歌えまい

墨堤に沿って

まだ歩いてもいいかな

間に合うかな

あの三椏は

やっぱりまだ咲いてるだろうか


.


長命寺を思う早春


/了

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長命寺を思う シキウタヨシ @skutys

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