NTR"断罪"委員会

プラチナ

第1話 始動①

 俺は延木釖真のぶきとうま。普通の高校生。ただ俺が唯一普通じゃあないところがある。それは俺が今、幸せという山の頂にいることだ。


 遡ること一ヶ月前。俺はずっと片思いをしていたクラスのマドンナ、染井咲楽そめいさくらさんに思い切って告白をした。玉砕覚悟で挑んだ告白だったが、結果はまさかのOK。俺たちは晴れて付き合うことになってしまった。それだけでも嬉しいのに、本人から


「てことは私たち、両思いだったんだね」


 と言われた時は彼女の目の前で大号泣しそうになったものだ。


 そんな状態から一ヶ月後の今、俺たちは絶賛遊園地デート中だ。この日のために二日徹夜して考えたデートプランは今のところ順調そのもの。このままいけばいずれあの場所へ、、、


咲「なんかすごいニヤけてるけど、大丈夫?」

釖「、、は!いや大丈夫。咲楽さんとデートできたのが嬉しすぎて」

咲「もぉ、大袈裟だよぉ」


 危ない危ない。顔に出てしまっていたか。幻滅されていないだろうか。ともかくそのことは後で考えよう。今は彼女を目一杯楽しませることを優先しよう。


 この時の俺はこの後に降りかかる災厄を目の当たりにするなんて思いもしなかった。


 ・・・数時間後・・・


咲「あー楽しかった。また来ようね。」

釖「あぁ。僕も楽しかったよ。」


 ちなみに、彼女の前ではの一人称はに変えている。ではそろそろ日も暮れてきた頃だし、そろそろ夜の街のプランを、、、


咲「ごめんね。この後も一緒にいたいんだけど、塾があって。もう帰らなきゃいけないんだ」


 あ、終わった。まあそりゃそうですよね。初デートでそこまで考えてる方がおかしいですよね。てか塾あるなら別に今日デート入れなくてもよかったのに。まあいい。切り替えよう。せめて彼女を気持ちよく送り出さなければ。


釖「あ、そうなんだ。よかったら塾まで送ってこっか?」

咲「いや、塾まで結構遠いから迷惑になっちゃうよ。大丈夫、心配しないで。」


 別にいいのに。君となら例え火の中、水の中、草の中、君のスカートの中、、、は流石にまずいが何処へでも一緒に行くのに。


釖「、、わかった。じゃあここでお別れってことになるのかな?」

咲「うん。ごめんね。この後の予定もたくさん考えてくれたかもしれないのに。」

釖「大丈夫。また次の機会に一緒にいけばいいしさ。」


 そうだ、俺には次がある。なぜなら咲楽さんは俺の彼女だから。チャンスならこの先いくらでもある。だからいいのだ。


咲「じゃあまた学校で。」

釖「うん。じゃあね」


 そう言って俺たちは別れた。彼女の背中を見届けた俺は、一人寂しく帰路に着いた。


 ・・・数分後・・・


 俺は帰りの電車を待っていた。あと二分ほどで電車が来る予定。俺はトイレでソシャゲをやりながら時間を潰していた。用を足し終わり、トイレを出ようとしたその時、電話がなった。着信の相手は「咲楽さん」。だがいつもと違い通話であった。そのことが気がかりだったが、忘れ物でもしたのかな、と気楽に考えていた。だがそんな生ぬるいものではなかった。


 画面に映ったのは彼女の姿ではなく、三人の褐色肌が目立つ、いかにもチャラ男といった人物だった。俺が完全に状況を理解する間もなく、男たちは喋り出す。


チャ1「お、繋がった。イェーイ彼氏くん見てるー?」


 俺は最悪の想像をしてしまった。男ならば一度は見たことのあるであろう展開を実際に体験するとは思わなかった。


釖「誰だお前ら。なぜ咲楽さんの携帯からお前らの顔が出てくる。」

チャ1「ギャハハ!めっちゃキレてる。けどいいのかなぁ。そんな態度とって。」


 チャラ男はそう言うと、スマホの内カメを後ろのベッドに向けた。そこには気を失っているであろう咲楽さんの姿があった。


チャ1「わかってっと思うけど、こっちには君の彼女ちゃんがいるから。あんまり怒らせるとどうなるかわかるよね?えっと名前は、、、」

チャ2「染井咲楽ですね。」

チャ1「そう咲楽ちゃん!いやぁこの子、前々から声掛けようと思ってたんだよね。だけどまさか取られちゃうとは思わなかったなぁ。こういうのBSSって言うんだっけ?」


 俺は怒りが抑えられなかった。


釖「何がBSSだふざけんじゃねえ!!」

チャ1「だからいいのかなぁ。まさかわかってない?」


 そういうとチャラ男の中でもリーダー格がある男は、咲楽の元に近づいた。そして彼女の隣に添い寝するかのように寝そべった。


チャ1「こっちにはぁ、彼女ちゃんがいるの。何もしてほしくないなら、それ相応の態度があるよね?」


 俺は今すぐにでも怒鳴りたかったが、それが悪手であることを理解するには、時間は要さなかった。


釖「、、、やめて、ください、。」

チャ1「あ”?聞こえねえよ!!」

釖「やめてください。」


 悔しい。この男に屈服しなければならないと思うとはらわたが煮え繰り返る。だが我慢だ。今はまだ我慢するしかない。


チャ1「なぁ彼氏くん。ゲームしようぜ。」

釖「なんだ。」

チャ1「んん?」

釖「、、、なんですか。」


 ゲームだと?ふざけんじゃねえ。


チャ1「簡単なゲームだよ。まあまずは、、。」


 そう言うと、今まで喋らなかったチャラ男が箱を取り出し、中を見せてきた。そこには大量の媚薬に加え、粉薬のようなものが入っていた。


チャ1「箱の中見えてる?こんなかには媚薬とか、あとはちょっと違法な薬が入ってる。普通に持ってたら捕まっちゃうくらいの。だけどこれを飲んでヤってみ?飛ぶぞ。まあ冗談はさておき、駅の前のラブホわかる?まあわからなくてもいいか。俺たちはそこの404号室にいるのよ。でだ、今から三十分以内にここまで来れたら彼女ちゃんを解放してあげる。ただし、もし間に合わなかったら、、。俺たちで気持ちいいことしちゃうから。」


 駅前のラブホ、、。そこは恐らく不幸にもそこは俺が咲楽と最終的に来ようと計画していた場所の可能性が高い。そのラブホにはここから徒歩で四十分はかかる。全力で走っても間に合うか不安な距離だ。


 俺はすぐに駅を出ようとした。だがその時、


チャ1「ちょ待てよ。まだ説明終わってないんだから。こっちもただ待ってるだけは暇だから五分おきに彼女ちゃんに媚薬飲ませちゃうね。時間が経っちゃったらもしかしたら彼女ちゃんの方から誘ってきちゃうかも。じゃ頑張ってね、、お、ちょうど彼女ちゃん起きたみたい。ほら挨拶してよ。自分の彼氏くんに。」


 咲楽が目を覚ますと、すぐに状況を理解したのか、徐々に顔が泣き顔に変わっていく。そして逃げ出そうとしたらチャラ男二人に押さえつけられた。


咲「釖真くん助けて!!」


 俺はすぐに駅から飛び出した。



ーーーあとがきーーー

最初はベターなものから。一番テンプレな胸糞展開ですね。

ちなみに、釖真→釖 咲楽→咲 チャラ男→チャ1・2・3

今後の他のキャラもこのような形で書きますことをご了承ください。

次回、あいつが動き出す。

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