格安ホテルで失敗した恐怖の黒歴史

逢坂 純(おうさかあつし)

新大久保の格安ホテルの恐怖体験

僕が東京へ一泊二日した時の旅慣れていない旅行の時の黒歴史をご披露したいと思います。取り敢えず安いホテルに泊まろう、そう考えていました。

そう考えて某ホテル比較サイトで格安のホテルを予約しました。3,600円、畳の8畳の部屋です。そうして僕は東京で用を済ませ、

夜、一人で街を歩くことが危なっかしい僕はT都自動車交通でタクシーを配車してもらい、安心安全に夜の街をホテルに一直線に向かいました。地方在住の僕は、東京の地の利に疎く、そしてホテルの安さだけに目を奪われていて、ホテルが韓国人街新大久保だという事も分かっていなかったのです。韓国人街は、夜にはもうすっかり店も閉まり、辺りは静まり返っていました。

「着きましたよ」

タクシーの運転手は、この先の細い路地にあるのがお客さんのホテルで、そこには車は入っていけないので、歩いて行ってください、と僕はタクシーから降ろされました。

「悪い予感しかしない……」

僕は細い路地を入ると、僕が泊まろうとするホテルを見つけました。写真とはまるで違う

どんよりとした外観のホテルでした。ちょっと挫けそうになりましたが、ホテルの中に入りました。中には小さな受付があり、片言の韓国人らしき男性が椅子に座っていました。僕が予約した旨を伝えると、その韓国人らしき男性は、僕を部屋へとホテルを案内しました。トイレは共同、風呂はないと言うのです。

「悪い予感しかしない……」

そして、鉄パイプの手すりのある階段を下りて、地下室の部屋へ。

「ここだよ」

案内された部屋は、予約サイトで予約した時の写真とはまるで違うものでした。部屋には鉄パイプの二段ベッドが4つ、5つ部屋に敷き詰められるように並んでいました。そこは俗に言うタコ部屋でした。そうして韓国人らしき男性は、また片言で「好きなベッドに寝るといい」と言って、去って行きました。

僕は一番奥の二階のベッドを選び、荷物を持ってベッドに登っていきました。周りを見ると、ドレッドヘアーの異国情緒あふれる男が半裸で歩いてきて、自分のベッドに入って行きました。

体全体で、恐怖を感じました。

斜め横のベッドでは、一人の男性が全裸らしき姿で薄い毛布を被り、熟睡していました。

「なぜ、熟睡できるんだ――!」

ふと、反対側の斜め横のベッドの一階を見ると、中年男性がこちらを見ながら、ニヤニヤと笑っているではないか、僕はそう思い恐怖の絶頂の中にいました。

「部屋を替えてもらおう」僕はそう思うと、受付に荷物を抱えて、行きました。しかし、受付はもう帰ってしまったようで、何の言伝も書いてありませんでした。

「どうしよう……」

背負ってきた荷物を抱きしめ、僕は今日は徹夜をしようとベッドの上で、誓いました。

料金は払ってある。朝一番でここを出よう、そう思っていました。

朝5時、僕は荷物を持って、部屋を出ました。

そうして夜は更けていきました。そして朝になりました。朝一番に部屋を飛び出すと、夜には気づかなかった共有スペースがあることを、初めて知りました。そこで昨夜、半裸で部屋にいた男性にバッタリと出くわしました。男性はクルリとした目の異国情緒溢れる美しい女性と一緒に共有スペースのコンロでコーヒーを作っていました。

「オハヨウゴザイマス」男性は笑顔で僕に挨拶してくれました。よく見るとまだ20代そこそこの人の好さそうな若者のようでした。僕は挨拶を交わし、ホッと安心してホテルを出ました。ホテルの外に出ると、新大久保の街は、朝早くにも関わらず、活気に溢れていました。昨夜の怖いだけの体験が嘘のような活気のある街でした。僕は早く家に帰ろうと思い、新大久保の街を観光もせず、一直線に駅に向かい、家路に着くのでした。

「ホテル選びも慎重に」教訓の黒歴史です。

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格安ホテルで失敗した恐怖の黒歴史 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808

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