第4話『バルーンテロ魔逮捕』 第5話『うどんごむ』 第6話『有名人ふたり』

第4話:『バルーンテロ魔逮捕』


[1コマ目]

 5文字と知らなかったダガー。変な汗が出てくる。

 

「あれー? もしもだよ? 5文字と知らなくてバルーン送ったら──どうなるの?」


 ダガーの問いに、ちゆが答える。


「まず警告が出る。それでも送ると、最初の5文字だけ送る」

「警告無視したのか?」

「うん」


[2コマ目]


 ダガーちょっと思い返してみる。

 

「『ダガーだよ』新しいおもちゃ見つかったよ」

「『ダガーだよ』帰ったら、ゲームしょうぜ!」

「『ダガーだよ』貸した金返せ!」


『ダガーだよ』

『ダガーだよ』

『ダガーだよ』 

「ああああ!」


 後輩に11個も同じ文、送ってしまった。しかも自分の名前の連呼。


「恥ずかしーい!」

 

[3コマ目]

 

「これバルーンテロになってない?」


 この時期、先輩から迷惑なメッセージが送られてくる事を思い出した。それと同じことを自分もやってしまったと気づくダガーだった。


[4コマ目]


「そんなつもりなかったんやー!」


 ダガーの肩にそっと手を置くふたり。その姿は、ふたりの警官が犯人を逮捕する姿に似ていた。

 

「皆んなそう言うよな?」

「あんたは良くやった」

「ううう……」


***

第5話:『うどんごむ』


[1コマ目]


 避妊護謨うどんごむとは、年頃の女子を集めて、婦人先生が妊娠の大切さを真面目に教える授業の参加記念品である。なお早速使うかどうかは、あなた方次第です。


 前回までのあらすじ。

 教師への連絡用バルーンを遊びで使ってしまったダガーたち。在庫ゼロに陥る。このままでは、強制帰還させられてしまう。

 果たして3人は、このピンチから抜け出す事が出来るのでしょうか?


『バルーン0』

 メッセージを乗せたバルーンがダンジョンの天井をすり抜け昇っていく。


「そういうこともあろうかと、予備を用意しておいたわ」

「流石、困った時のちゆ様っ!」

「ありがと。困ったのダガーちゃん」

「ぐ」

「トリあえず。今日のところはうまく行った。明日どうしょか?」

「バルーンって避妊護謨うどんごむみたいやね?」

「使ったことあるの?」

「ウチあるわ」

「へーオトナ」

「死にかけたオッサンの人工呼吸のポンプ」

「ヒーラーあるあるか?」


[2コマ目]


「そうだ、避妊護謨うどんごむに浮遊の魔法つけて教師へ送りつけちゃおう」

「男性教師がコレうどんごむを女生徒から受け取った図が目に浮かぶなー」

「トリあえず不死鳥フェニックス見つけるまで送り続けるのだ」

「別の問題で呼び出されたりして……」


 さっきから話に参加していない人がいます。

 

「で、ダガーも出して?」

「ええ?」

「避妊護謨の話から、ダガーが無口なんですが?」

「そそ、そんなことないよ?」

「ダガーも非常用に持ってるでしょ?」

「ええー。センセーから貰った記念品だから、大切に取っているかなー?」

「ちゆは、汚いオジサンとの接吻キス回避に使ったから、私とあんたの2つしかない」

「校長先生は汚うあらへんでー」


[3コマ目]


「だから在庫確認!」

「なっないよ?」

「え? 使った?」

「だから練習っ!」

「なんかおかしいなー? 具体的に言ってみろ。怒らないから?」

「魔法の杖に被せた? っけ……」

「魔法の杖って、私のか! バカーッ!!」

「怒らないって言ったのにー」

「私物でヌクなー!」


[4コマ目]


「避妊護謨の在庫ならウチ持ってるでー」

「なんで?」

「校長先生が『ちゆは命の恩人や』って避妊護謨を山程もろた」

「「こっ校長先生っ!!」」

***


第6話:『有名人ふたり』


[1コマ目]

 地下迷宮24階に到着した。ここは鳥の迷宮だ。

 上級生からの情報でココに不死鳥フェニックスが生息している。何日か居れば、きっと不死鳥を見つける事が出来るだろう。

 しかし、うずうずしている奴がひとりいた。

 ダガーだ。


[2コマ目]


「見つけたら食って良い?」

「ダメだって! ホントに食ったら、身体強化してるダガーだって死ぬぞ!」

「ホンマに、なんでも食べるなー?」

「前回の課題は、巨大タコだったけど、タコに絡まれて死ぬか食べるかの戦いだったっけ?」

「ボクが勝った! 美味かった」

「不死鳥=焼き鳥じゃないからな? 絶対ヤだからな?」


[3コマ目]

 不死鳥が出た。いきなり噛みつくダガー。倒せたか? と思わせた瞬間。一瞬でダガーが燃えた。

 その攻防は凄まじかった。炎の中で黒い炭になりながらも、噛みつく攻撃を辞めないダガー。一方の不死鳥も炎を決して弱める事なく燃え上がる。


 勝敗の行方を見守るふたり。マフラは、感動に瞳を濡らした。ちゆは、ヒールを絶え間なくかけ続けた。


 果てしなく続くと思われた攻防は、日付をまたぐ瞬間まで続いた。


 そう、戦いにみんな夢中でバルーンを揚げることを忘れていた。


 不死鳥に噛みついたまま、ダガー達は強制帰還させられてしまった。


[4コマ目]

 課題が終わった。課外授業が終わった生徒達は、座学用の教室にいた。


 みんな夏でもないのに、とても暑そうだった。


 マフラが普通に夏服を着ている。その肩には、大きく立派な赤い鳥が留まっていた。

 

 教室の壁にはこんな張り紙があった。


『教室内ではペット禁止。不死鳥はペットにあらず(特にマフラ)』


 ふたり目の有名人の誕生だった。


 つづく

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