ダンジョン教室

三雲貴生

第1話『課題』 第2話『有名人』 第3話『バルーン』

## 第6回お題

『トリあえず』

KAC20246

タイトル:ダンジョン教室

仕様:4コマ小説

本文:


第1話:『課題』


[1コマ目]

 白髪白髭の老人は言った。

 

「今月の課題は、不死鳥フェニックスじゃ」


 ここ迷宮ダンジョン教室では月1度の課題がある。

 それをクリアするとレベルが上がり、新必殺技で迷宮教室の人気者になれる。


[2コマ目]

 早速、仲良し3人組は教科書マップ通りに迷宮を攻略していった。


 先鋒は剣士のダガー、2本のダガーを使ってモンスターを倒していく。その勇姿はまるで盗賊のよう。

 

「うるせーこのやろー」

 

[3コマ目]

 遠距離攻撃担当は、炎の魔法使いマフラ。寒がりで、厚着の魔女装束にマフラーを巻いて炎を放つ。まるでマフラー怪獣。

 

すぞ!」

 

[4コマ目]

 そしてふたりの間ではんなり

 と過ごすのは、レベルは低いが何でも治せるオールヒーラー、京都弁のヒーラー、ちゆ。日替わりの今日の衣装はゴスロリ。

 

「ヒールいる?」

「「いらなーい」」


 めげずに聞く。

 

「今なら50%OFF(ニコ)」

「「……」」

「効果が……(ボソ)」


「効果かよっ!」

「ダメじゃん!」

***

第2話:『有名人』


[1コマ目]

『課題書』読んでるのは、ちゆ。

不死鳥フェニックスを見つける課外授業。見つけるだけ。触らない。捕まえない。食べない(特にダガー)。今回から引率なし、生徒だけで行います。


[2コマ目]

「食べると胸焼けする」とダガー。

「胸焼けどころじゃねぇ。胃が消失するだろう?」とマフラ。

「ダガーは不死鳥を焼き鳥と勘違いしている」とちゆ。


 触ると触った部分が焼けただれてしまう。過去に挑戦した先輩方は挫折している。

 不死鳥は、体中が燃えているので捕まえるおりあみがない。


[3コマ目]

『課題書』を改めて見るちゆ。あることに気がついた。

 まずマフラに見せる。

「有名人」

「うん、ゆーめーじん」

 最後にダガーに見せる。

『課題書』には、

 食べない(特にダガー)。

 と書かれていた。


[4コマ目]

 怒り狂いモンスターに当たり散らすダガー。

 

 ダンジョン廊下には、

『ダンジョン内では暴れない(特にダガー)』

 と書かれていた。

***

第3話:『バルーン』


[1コマ目]

 通信用バルーンとは、ダンジョンから地上へ通信を送るアイテム。1回5文字だけしか送れない。地下迷宮では、毎日バルーンで報告しないと、強制的に帰還魔法で地上へ戻されてしまう。


[2コマ目]

「面白いので後輩たちに送ってやろう!」とダガー。

「在庫少ないから程々にしなよ?」マフラは警告する。


 ダガーが面白がって送りまくる。心配したマフラがバルーンの在庫確認をした。


「ヤバイ。バルーンあとひとつじゃん。先生への定期連絡どうするの?」

「出さへんかったらどうなるん?」

「魔法で強制帰還」

「「「ヤバイ」」」


 遊びでバルーンを上げて在庫が無くなった。ダガーは在庫が12個と知らなかった。

 

[3コマ目]


ダガー考える。


「最後のひとつどうするのか? 考えろ!!」とマフラ。

「『フェニック』スにあえ……」

「ダメ。5文字超えた」

「『フシチョウ』にあえなかっ……」

「ダメ。5文字チョー超えた」


マフラ考える。


「『バルーンざ』いこ不足」

「ブブー」とダガー。

「『バルーンな』い」

「へへ、5文字超えたよ?」

「『バルーない』」

「バルーってなに? 意味わかんねー」

「『バルーンを』──遊びで使い果たした、お前が言うなー!!」


ちゆ考える。


「じゃあ、ちゆならどうなのよ?」とマフラ。

「みんな一緒に恥をかこー」とダガー。


 ちゆは面倒臭そうにつぶやく。

 

「『セイカデズ』『ミツカラズ』『トリイナイ』『トリあえず』『バルーン0』」


「「おお」」


[4コマ目]


「とりあえず『トリあえず』と送っとこうか?」


 在庫ゼロ。明日はどうなる?


 つづく

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