突撃!あかりチャンネルの待つ階層へ!

『えっ?えっ?』



『速くね?』



『ジェットコースターか??ってか、吐く』



『_| ̄|○、;'.・ オェェェェェ』



『やばい、コメ欄死人出てる!!』



と、コメ欄が阿鼻叫喚としている中、コメ欄を見る暇もない響は、ただただ、目的地を急いでいた。


響からすると、このダンジョンで手を焼くようなモンスターがいないことを察しているが、あかりチャンネルはきっと違うだろう。


そもそもあかりチャンネルは、堅実なダンジョン配信者だ。

自分でダンジョンについて勉強し、弱い魔物に挑みながら着実に実力を付けていく。

無理な戦闘は避け、確実に勝てる勝負に挑む。

そこに明るい性格、容姿端麗な顔立ちは、人気になるのも早かった。


だが、そんなあかりチャンネルだからこそ、盲点だった点が、チャンネル登録者の比率だ。


確かに探索者も多少登録はしているが、圧倒的に一般人の男性の割合が多い。


慎重に弱い魔物に挑む。


一般人からすると保護者目線でハラハラしながら見れるが、そこそこの探索者からすると、やはり『強敵に挑んでなんぼ』という暗黙のルールのようなものがあるため、どうしても物足りなくなるのだろう。


そのため、今回のように、トラップ部屋を知らずに入ってしまい、このようなことが起きてしまったのだ。


響があかりチャンネルをミラーして欲しいとの事で、探索者が見ていたから良いものだが……。



さて、右手に持ったしゃもじを高速に動かし、モンスターを斬り裂く響だが、それに違和感を感じた視聴者がコメントを打ち込む。



『このダンジョン何度も挑んでるのか?明らかに一直線にあかりちゃんのとこまで向かってないか?』



『何から何までおかしいだろ。しゃもじを武器に使うやつとかいないだろ』



『明らかに運動不足のやつが出るスピードではない』



『それもそうか』



『よし、行け(後方腕組み)』



「よし、あかりチャンネルさんが待つとこまで来ました。多分無事だと思いますが、善は急げです。ちょうどしゃもじも持ってますし、今から突撃して晩御飯をリポートしましょう!」



『そんなん言うてる場合か!!』



『ここダンジョン言うてな!』



『というかダンジョンに突撃することが間違ってましてね!!』



響は、全速力で走ったために乱れた髪を整えながら、動きを止める。


『なにしてんの?』



『魔力探知?』



『は?そこで???』



『範囲広すぎん?』



「こっちみたいですね。どうも強い魔力があるので、ボス部屋かもしれません」



響は目的地へと走る。

さらに視聴者を驚愕させたのが、この間に、響が全く息が上がってない。


「やっぱりこの中みたいですね」


『ボス部屋だ』



『このでかい扉の先??』



『デカすぎんだろ』



「よし、行きましょうか。『突撃!お前の晩御飯チャンネル』でーす!!」



部屋を開けると同時に、中に向かって響が言った。


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