第3話 AIと著作権
AIのリスクについて多く語られるのが著作権の問題です。
画像生成AIで作成された画像に対し、画家の方たちが自分の絵を真似されたと訴える報道もありました。
これが原因でAI画像の利用は違法だと考えている方も多いのではないでしょうか。
もちろん著作権の問題は軽視してはいけないのですが、きちんと理解して使えば気にしすぎる必要もありません。
その理由は大手のサービスでは著作権問題が起きにくい仕組みとなっているためです。
今回はそのあたりを解説したいと思います。
まず、なぜ画家たちの絵がAIに真似されたのかを考えてみましょう。
第1回でも触れたように画像生成AIは『弱いAI』であり、ディープラーニングという技術で良い画像となるパターンを学習させていきます。
パターン学習を行うためには学習用となる画像を用意する必要がありますが、著作権があるにもかかわらず無断で使用されていたわけです。
このように学習されたAIで画像生成を行うと、無断で使用した画像に似た絵を生成する可能性が高まります。
ディープラーニングで学習させるデータが高品質のものを数多く用意する必要があります。
そのため、怪しい生成AIサービスでは有名な作家の作品を無断で使用する方法を採用したのかもしれません。
一方で大手の生成AIサービスでは正規の方法で学習データを用意できるため、著作権違反の状態が起きにくいです。
利用者数の多い大手サービスでは、著作権違反が出てしまうと大量の訴訟で経営にも影響してしまいますから、特に気をつけているはずです。
第2回にお話したEUのAI規制はリスクの度合いに応じて内容が変わるのですが、生成AIのように限定的なAIについては主に著作権の問題に対応するものです。
透明性という言葉を使っているのですが、簡単に言えばAIが生成したコンテンツの説明文に『この作品はAIアルゴリズムによって自動生成されました』という趣旨の文を記載することで、人間の創造性が関与していないことを示すことが義務付けられます。
日本ではAI規制はまだ行われませんが、私たちが『AIが生成したコンテンツ』を公開する際に著作権侵害を避けるためには、以下のポイントに注意すべきです。
1.ライセンスと利用規約
大手の生成AIサービスは、利用者に対してライセンスや利用規約を提供しています。これに従って利用することで、著作権侵害のリスクを最小限に抑えることができます。
利用規約をよく読み、遵守することをお勧めします。
生成されたコンテンツを有償利用する場合は特に確認が必要です。
2.透明性と説明責任
生成AIが作成したコンテンツを公開する際には、その作品がAIによって生成されたことを明確に示すことが重要です。
利用者に対して、AI生成作品の著作権について説明し、透明性を保つことが求められます。
『この画像は○○によって生成されたものです』といった、説明を記載すればよいでしょう。
3.AIモデルのトレーニングデータ
生成AIのトレーニングデータには、既存の著作物が含まれている場合があります。この点に留意し、適切なライセンスを持つデータを使用しているか確認してください。
4.法的アドバイスの取得
商業利用などで生成AIを活用する場合は、法的アドバイスを専門家から受けることをお勧めします。
特に著作権に関連する法的リスクを最小限に抑えるためにアドバイスを求めてください。
著作権は非常に重要ですが、基本的に大手の生成AIを正しく使う分には問題はありません。
ただし、法律は今後変わっていくことが考えられるため、現在問題ないから未来も大丈夫ということではないことを覚えておきましょう。
第2話でも書きましたが、私は近況ノートにAIが生成した画像を貼っておりますが、『AI(Bing Image Creator)が生成した』ことを明記しています。
明記していない方、今後は書くことをお勧めしたいです。
次回へつづく。
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