第6話
初めは、ただただあなたのことが好きでした。大切でした。見返りを求めることも、相手からの気持ちを期待することも無く、ただ純粋にあなたのことが好きでした。こんな私でも、人を本気で好きになることが出来るんだと、それだけで満足でした。
でも私は、好きになれたということに満足すると、次は相手の気持ちが私と同じであればいいのにと思うようになった、欲張りな人間です。私があなたを大切に思う気持ちと同じぐらい、あなたもそうであって欲しいと、私があなたに会いたいと思う気持ちと同じぐらい、あなたも私に会いたいと思って欲しいと。
あなたにこの気持ちを打ち明けてしまいたい、何度そう思ったことでしょう。でも私は、あなたに拒絶されるのが怖くて、あなたともう連絡が取れないかもしれないと恐れて、言えませんでした。
私は欲張りで、ないものねだりで、怖がりなのです。相手の気持ちが私と同じでないことは分かっています。そんな相手に私の一方的な好意を、身勝手なこの気持ちを伝えることが正しいのかと葛藤しました。私は結局、あなたが東京に帰ってしまうまでにこの気持ちを伝えることはできませんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます