第30話 怖がるべきはそっちじゃない
幼稚園の時の話。
自分の通っていた幼稚園の敷地には大きなお寺がありました。
今ではすっかりなくなってしまいましたが、昔は幼稚園の年長さん時や学校の卒業前に「お泊まり会」という一大イベントがあり、園舎や校舎の中で一晩を明かす日があったのです。
夕方、あたりも暗くなってきたころ、お泊まり会の目玉である「お化け屋敷」の開催時刻となり、会場であるお寺へと移動しました。
みんなが集まるお寺の本堂から廊下に出て、先生お化けをかい潜り、金色のメダルをとってきたらゴールです。
タカナシは幼い頃めちゃくちゃな怖がりでありました。それはもう、車の丸いヘッドライトや、マンホール、コートの大きなボタンですら目玉に見えてしまい、夜になると怖くて見れないほどの。
薄暗いお寺の中、先生お化けから逃げ回っていた自分は、いつのまにかみんなとはぐれてしまい、気づいた時には、
黒と赤と金色からなる、長方形の縦長の引き出しのようなものが、列になってたくさん並んでいる、静寂に包まれた不思議な部屋。
それが一体なんの部屋なのかはわからなかったのですが、部屋の中はとても寒く、どうにも気味が悪くて、足早に元来た道を引き返しました。
そうして、紙製の、手作り感たっぷりのお面を被った先生お化けに驚かされ、泣きじゃくりながらも、なんとか金メダルを手にして広間へ戻ったタカナシ。
後日、お泊まり会の写真販売があり、そこにはまるでホラー映画さながらに、恐怖に怯えて泣き叫ぶ自分の顔が写っておりました。
それから何年たったでしょうか。大きくなったタカナシは、ポストに投函されるお寺のチラシを見て気づいたのであります。
あの時自分が1人で迷い込んだ謎の部屋が、
お寺の納骨堂であったことに…
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つーかさぁ、そもそも、幼児相手に、寺でお化け屋敷やるなや!!ホンモノでるわっ!!((((;゚Д゚)))))))笑
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