とある研究所にて

@kurone0

第1話

此処はとある研究施設の地下深くにいくつもの培養ポットが並べられていた。その培養ポットに浮かんでいるモノは限りなく人間に近いモノであったが鱗に覆われていたり、尻尾や耳・羽・触手等様々なものが付いており、完全に人間というわけでは無さそうだ。そんな見た目のモノ達には時折注射器が刺され、何かを入れられるあるいは血を抜かれているようだ。暫くするとほとんどの培養槽の中身が人間の形となり、何かしらの人間にはないものが付いた状態となった。

その様子をカメラ越しではあるが監視していた男たちが居た。

『これで殆の被験体が完成した。これで漸く実験を開始できる。上層部の奴らめ、戦争だからと碌に被験体を回さないどころか早く実験の成果を出せなどと言いよって。しかし、これで煩いのも静かになるだろう。おいコイツラを色で分け、二人部屋に分けるんだ。その後訓練開始だ。』

一人の男が命令すると、培養槽の中に浮かんでいた人達がカプセルのようなものに移されそれぞれ別の場所に運ばれていった。

運ばれて行った部屋にて次々と起き上がっていき、全ての塔で彼等は起き上がった。彼等は自分が置かれている状況を把握しているのか混乱は見られなかった。しかし、翼や尻尾などがついた体では重心が不安定なのか自由に歩き回れるものは少数だった。中には体がいじられている影響か苦痛に顔をゆがめているものもいる。

暫くすると、放送が流れ始めた。

『はじめまして諸君。諸君らには我々のために戦ってもらうが諸君らには戦うための諸々が不足している状態だ。よって、暫くは訓練を行ってもらう。我々のために戦えること光栄に思い給え。』

その放送があった後部屋にあった扉が開かれ、どこかへの音声案内がなり始めた。

彼等は渋々その音声案内に従い施設内を進んでいくと、人間の形をした的と、様々な大きさ・種類の銃器がラックに収められていた。各々目についたものから手に取り、撃っては変えるを繰り返しほぼ全員が自分の武器が決まった頃、突如障害物から体をさらしていた複数人が血を吹き出して倒れた。突然の事態に驚きながらも無事であった者たちは障害物に入りつつ動けないものを引きずり込んだ。修復能力が高いものは傷の修復が始まっているが、修復能力が低い者は流血が多く危機的な状態となっている者もいる。銃撃を受けた方向を確認すると的や障害物などにカモフラージュされわかりにくいがいくつか銃器を装備した的が存在していた。その的は自律的に移動することができるようで、決められた動きしかしない的の中ではかなり目立つものであった。

一部の冷静にこの事態を観ていた者たちは反撃を行おうとした。激しい銃撃を受けたが隙を見て反撃、近い位置を移動していた的に対し集中的に射撃を行ったよほど頑丈なのか破壊するのに時間がかかったが、一門の機関銃を沈黙させる事に成功した。破壊された的は何が使われていたのか数瞬の後に炸裂し、あたりには煙が立ち込め的を視認することが難しくなってしまった。

どのようにこちらを認識しているのかは分からないが尚もこちらを視認する機関銃は障害物から露出したものを撃ち抜き負傷者は増加する一方だった。その状況の中でも発砲炎に狙いをつけて射撃を続け、二門の機関銃を無力化することに成功していた。そして、こちらへ射撃していた機関銃が半分となったときその攻防に変化がおきた。的が機関銃だけでなく爆発物を使用し始めたのだ。そのため前線近くに潜んでいたものは投げ込まれた爆発物に適切に対処することができず、爆発に煽られその隙を狙い撃ちにされてしまった。それを見た者たちは後方に位置している者は投げられ、打ち込まれた爆発物を撃ち落として対処。撃ち落とされなかった爆発物は投げかえし、打ち返し、または回避してやり過ごした。そうして爆発物による動揺もすぐに静まり、残りの3つのまとも破壊することに成功した。

『試験合格おめでとう。このくらいはいましてもらわなければ困る。負傷者も出ているようだが大丈夫だろう。諸君等については続いての試験を行ってもらう。それと、諸君等が使ったその銃器は支給品だありがたく思えよ。』

その放送が聞こえたあと、入ってきたドアが開きまた別の部屋への誘導灯が光っていた。

負傷していた者もほとんどの傷が治った頃彼らは移動を開始した。その先では何が行われるのか、彼らの明日はまだ暗い。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る