今日も藤巻刑事は新人を育てる その四
久坂裕介
出題編
「それではあなたは、夫の
藤巻刑事は杏梨とテーブルを
そして杏梨をスマホを調べてみると、インターネットで青酸カリを買った
杏梨の話だと、夫の克己は結婚前は優しかった。だが結婚した
結婚すると、こんなにも人は変わってしまうのかと杏梨は
「それではこれから署で、詳しいお話を聞きたいんですがよろしいでしょうか?」
すると杏梨は、首を
「今日はまだ
藤巻刑事は、杏梨はもう罪を認めているので逃げることは無いだろうと考え、許可を出した。
「はい。
すると杏梨は、イスからゆっくりと立ち上がった。
「取りあえず、キッチンから」
そしてシンクを
すると奥野は、話し出した。
「『取りあえず』って聞くと、僕は何だか悲しい気分になるんですよね」
興味を持った藤巻刑事は、聞いてみた。
「へえ。どうしてですか?」
「『取りあえず』って、『
すると藤巻刑事は、ため息をついて説明した。『取りあえず』に、そんな変な意味はありませんよ。『取りあえず』は平安時代から『たちどころに』、『すぐに』という意味で使われてきました。中世以降なると『さしあたって』、『間に合わせて』という意味で使われるようになりました。まあ敬語表現ではないので、『ひとまず』、『まず』、『
それを聞いた奥野は、軽く頭を下げた。
「へー、そうなんですか。何か、すみません、くだらないことを言ってしまって……」
すると杏梨はシンクを洗う時に使っていた洗剤のボトルを持ったまま、告げた。
「次は、トイレを掃除します……」
そしてそのまま、トイレに向かった。それを見ていた藤巻刑事は、奥野に告げた。
「まあ、言葉を混ぜるくらいなら笑い話にもなりますが、世の中には絶対に混ぜてはいけないものもあります。『取りあえず』、杏梨さんは自殺しようとしているようなので、止めてください」
奥野は、
「え?! 杏梨さんが自殺?! 一体、どうやって?!」
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