退廃世界からのエスケープ

「俺も仕事を見付けよう」

 箱入りチョコレートケーキが効き体調が良くなったラララは客を引きに行った。

「週に五日は働けない」

 俺は仕事を求めて廃工場に行った。ひげが目の下まで及ぶ大袈裟なサンタのような工場長は俺の考えに理解があり「週四日と半日くればいい」と言った。俺はそれに感謝をしてさっそく作業着のサイズを採寸することになった。

 更衣室には俺と同じ顔の男が約五十もいた。作業着の上はSとLの間に二十二もの細かいサイズが存在した。俺は試着を面倒くさがり「Lでいい」と言った。驚くほど太った事務員に身ぐるみ剥がされると姿見の前に立たされ何着ものジャケットを羽織らされた。

 最終的に選ばれたのは豪雨のような水玉模様のパジャマだった。かなり幼児的だと思い嫌がったが、見れば俺は全員水玉模様のパジャマを着ている。致し方あるまい。目立ちたくはないのだ。忘年会には行きたくない。

 仕事を済ませるとアルバイト契約の紙を書かされた。妻の欄にラララの名前を書いた。

 工場長は俺の肩に手を置き残念そうにこう言った。

「ナギラさん、この街に女はいませんよ」

「え?」

「何もかも、全てあなたの妄想です」







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