異能力学校にいる無能力者の僕。だけど周りが勘違いしてくる〜

ロスト

第1話〜モブの僕の事〜

まず何から話そうか迷う。

僕の名前は、田中一郎。

みんなからいちろーってあだ名が付いている。

多分皆、面白がってつけたんだと思う。

だって僕、他に特徴とかないし。

見た目も普通だと思ってるしね?

で、今の僕は高校に通う男子高校生な訳で、その通ってる高校は、今年入ったばかりだから一応新入生になるのかな?

最初のクラスの自己紹介の時「僕の名前は、田中一郎。特技はありません。これから宜しくお願いします」って言ってしまった途端、派手な頭をしてるクラスメイトから「なんか普通だな?あだ名つけね?そうだな?皆!田中の事はいちろーって呼んでやってくれよな!」とか勝手に宣言。

こちらは頼んでないのに、僕のあだ名はそう決まってしまった。

まあ……別に訂正する必要ないし。

普通に過ごせればいいかなって思ったので、ほっとく事にした。

そんな僕だけど、最近気になることが出来た。

その気になる事と言うのは、なんか視線を僕に向けて来るクラスメイトの彼女。

一ノ瀬春、一ノ瀬春は容姿端麗、成績優秀、運動抜群の完璧美少女と呼ばれていて、学校が始まって一週間も経ってないのに、もう数名に告白されたらしい。

なんで知ってるかと言うと、玉砕された者達の姿を見かけたから知ってるって事。

そんな彼女が何故か僕に視線を向けて来る。

僕、彼女に何かしたっけ?

特に反感を得るような事はしてないと思うのだけど……

授業が終わって、家に帰ろうとしたら、彼女が話しかけてきた。


「いちろー、話があるけどいいかな?」


「話?それに呼び捨て……」


「別にいいでしょ?何か文句ある?」


「いいえ、特にないけど…僕に何か?」


「貴方を見て分かった事あるのよ。貴方……能力者ね?」


「はい?能力者?」


「ええ、貴方も知ってると思うけど、この高校、たまに能力者がいるのよね?まあ対して強くない能力者だったりするのだけど、私は解るのよ、貴女が能力者だって事に」


そう言われてもよくわからない。

まあ、確かにこの高校。能力者育成推進高校だよ?この世界には能力者が少なからず認知されていて、便利な能力だったり、危険な能力だったりするけど、僕、この前の能力者検診で、無能力って診断されたばかりなんだけどなあ……

だから僕は彼女に


「あの……何か勘違いしてるかもしれないけど、僕は無能力だよ?」


「そんな筈ないわ、私は貴方の能力は存在感を無くす事なんじゃない?つまりステルス能力が貴方にあるのよ、貴方、私が告白されてるとき、存在感を消して、私の事を観察してたわよね?私も能力者だから、貴方の存在になんとか気がついたって感じよ、これが敵対関係だったら、恐ろしかったわ、姿が感じられないって事は、何しても存在がわからないしね?だから、いちろー!私のパートナーになりなさい。拒否権はないわ。じゃあ、OKね?これから宜しくねいちろー」


「いやいやいや、よろしくって何さ、了承してないし、僕は無理だって言ってるし?ステルス?それって僕がただ存在感がないって言ってるだけじゃないか」


なんかこの人言ってる事酷いよ!?

確かに僕は存在感はないかもしれないけどさ……

別に彼女の事を観察していた訳じゃないんだけど……たまたま僕が休もうとした場所に彼女がやって来たってだけだし。

でも、パートナーって?

僕に何をやらせる気なんだろう?この人……


「じゃあ、早速行動しましょうか?いちろー」


「いや、行動しましょうかって言われても僕に何をしろと?」


「それは……この学校にいる能力者の情報確認よ、せっかくこの高校に入ったしね?誰がどんな能力者なのか、知りたくなったのよ、まず私の異能力は教えとくわね?私の異能力はヒーリング。簡単な回復系よ。ちょっとした怪我なら治せるけど、重症は治せないわ。ゲームとか言うとヒーラーのポジションね。いちろーはその……ステルス使いだからアサシンって感じかしら?」


「ゲーム……一ノ瀬さん。ゲームするんだ」


「何よ、悪い?こう見えても私、ゲーマーよ?いちろーはどうなのよ?」


「結構やってるけど」


「本当に!?!なら……私のフレンドになってくれない?同じゲームやってるわよね?」


一ノ瀬さんに プレイしているゲームを教えて貰ったけど、このゲーム。

僕も遊んてるゲームだった。

まあゲームでも僕はソロと言うかフレンドが一人もいなかったので、この提案は素直に嬉しかったりする。

ゲームのフレンド登録を完了したあと一ノ瀬さんが


「今日はここまでにしときましょうか?夜からイベントやるみたいだし、それじゃいちろーまた明日」


「いや、また明日って言うか、一ノ瀬さんそのゲームイベント参加するんでしょ?ならゲーム内で会えるんじゃないかな?」


「いちろーもそのゲームやるのね?ならそのゲーム内で会えるって感じね?それじゃ、そのゲーム内で、また」


そう言って、一ノ瀬さんは僕から離れていった。

………ふう、とりあえず……バレなかったかな?

そう……実は僕……人間じゃないのだ。

いやお前は何を言ってるって言うのは解るんだけど、実は僕、いや……俺は魔界からやって来た悪魔だったりする。

なんで田中一郎って名乗ってるのかと言うと、魔界には娯楽が全くないから、人間に変装する時、参考資料を見た時……ハマってしまったのだ、アニメとか漫画とかに!

なんて面白い娯楽なのだ、だから俺は気に入った漫画に出てくる全く印象に残らない人物を参考にして、こうして……僕、田中一郎が出来たって事を。

田中一郎に扮する時は口調を変えておこう。

その方が正体がバレないしね?

しかし彼女…、僕が悪魔って気がついたのかな?

いや、気がついてなさそうだけど……

僕、悪魔だし大抵の事は出来ちゃったりするんだよね……

はあ……一体何をやらせる気なのかな?彼女……

ま、とりあえず……帰ったらゲームのイベントだな!

そう決めた僕なのでした。

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