第7話 王都防衛戦③
◇ ◇ ◇
「開式の言葉」
司会者が式次第を読み上げ、いよいよ式典が始まった。
「学園長祝辞」
(おっと僕の出番か。結構早いな。ささっと挨拶を済ませて戻ってくるとしよう。)
ゆったりとした足どりで舞台の中心に向かい一礼する。壇上に上がり今年度の新入生をぐるりと見渡してから口を開く。
「皆さん、この度はご入学おめでとうございます。私が学園長のシュウ・レイス です。どうぞよろしくお願い致します。・・・・」
最初に挨拶と軽い自己紹介を済ませ、学園の特徴などを少し話した後、学園長祝辞とさせていただきます と締めくくった。
祝辞を終え舞台袖に戻ると、司会者が少しこちらを見てから 来賓祝辞 と次の式次第を読み上げた。
この言葉を聞き、舞台袖で待機していた部隊長達に緊張が走る。この来賓祝辞に続き、来賓紹介がある。来賓には吸血鬼の里の長や、エルフの国の長老、獣人族の長など、協定を結んでいる各種族の代表が揃っている。敵国が襲撃を仕掛けるには絶好の機会なのだ。何としても、何事もなく式典を終わらせなければならない。そう思いながら、王都の外を警備中の彼に声を掛ける。
「そっちの様子はどうだ?ルーファス?」
「問題ないで、今んとここっちで全部対処できとる。王都内には侵入者はおらへんよ。」
念話魔法を使いカゲツに問いかけると、余裕そうな返事がかえってきた。対処出来ているということは襲撃を仕掛けてきた者は少なからず居るということか。まあ予想通りかな。問題はこの後だ。
「その調子で引き続き頼むよ。」
「了解。」
そんなやり取りをしている間に来賓祝辞、来賓紹介は無事に終了し、教職員紹介 と次に移っていった。
「続いて実技指導を担当していただく教職員の紹介を学園長よりしていただきます。学園長よろしくお願い致します。」
(お、遂にみんなの出番が来たようだ)
舞台袖で待機していた7人が順番に壇上に並ぶのを舞台袖から見届けた後、最後に僕も舞台袖を出て舞台の端に立つと、壇上を見上げるひとの えっ とか 本物? といった驚きの表情が見えた。そうなんだよ。凄いだろ?こんな凄いひとたちが教えてくれるんだよ?
「それでは、私から今年度実技指導を行っていただく教員7名をご紹介させていただきます。彼らは現在帝国騎士団の部隊長を務めておりますので、より実践的な実技指導をしてくれるのではないかと期待しております。」
と少し誇らしい気持ちで彼らの名前を読み上げる。
「戦闘実技担当、第1部隊隊長ヒカル、第2部隊隊長フウマ。」
金髪の青年と水色の髪の少年が揃って頭を下げる。この2人は身長はそれほど高くはないが、現在戦場の最前線で活躍しているのだ。
「戦闘戦術担当、第3部隊隊長クロード」
黒髪赤目の青年が1歩前に出て頭を下げる。
「情報技術担当、第4部隊隊長カイル」
青髪長身の青年が丁寧に一礼をする。おお、さすがに様になっている。
「魔法技術担当、第5部隊隊長ルカ」
緑髪の少年が慣れない所作で一礼する。ツナギを着て作業していることが多いので、やはり団服が窮屈そうだ。
「魔法科学担当、第6部隊隊長シオン」
紫の髪を低い位置でツインテールに結んだ少年が同じように一礼する。彼も普段は白衣で作業しているのだが、なんだか団服を気慣れているような気がする。着る練習でもしてたのか?
「医療技術担当、第7部隊隊長ヒビキ」
茶色の髪の少年が丁寧な所作で一礼する。やはり音楽をやっていただけあって舞台には慣れているようだ。
「以上7名に本年度の実技指導を担当していただきます。よろしくお願いいたします。」
そう締めくくり、壇上の7人が揃って一礼をした直後、外を警備中のカゲツから連絡が入った。
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