第35話 震災前夜
元総理、私はあの事が原因でのちに、このような事が起きるとは思っていませんでした。
しかし、なんらかの原因を与えてしまったとしたら、それは元総理だけの責任ではございません。
あの時、止められなかった私の責任でもございます。
元総理は決して悪くはございません。元総理は決して悪くはないのです。悪いのは本当の悪人はZでございます。
すべての原因はZです。
犯行予告は見せつつ隠す。自分たちの、Zたちの行いだと知らしめたい。しかし、公にはしたくない。相変わらずです。私は知ってしまいました。一連の犯行予告を。
もしあなた様がこの事に関して胸を痛めておられるのだとしたら、私も胸が痛みます。どうか気に病まないでください。
私はあなた様を追い詰めるためにこの事を申し上げているのではございません。
心優しいあなた様が傷ついてしまわぬように。
心優しいあなた様が責任を感じてしまわぬように。
心優しいあなた様が悔やんでしまわぬように。
元総理が悪いのではございません。悪いのはすべてZです。おそらくZはこの事がなくても、前々から震災を行う予定だったと思われます。
原発に関しては不可解な点が多すぎます。何故そろいもそろって、海沿いに建てられているのか。いささか不自然でございます。
まるで津波に流される事を想定して建てられているかのように。この地震大国A国で。さらに、前々から用意周到に計画をしていたとしか思えない建て方なのです。
私たちが勝手に思い込んでいるだけで、あの決断はなんら関係していない可能性が、かなりの高い確率で「大」でございます。
私と元総理が気に病んでいるだけで、Zは昔から用意周到に地震を引き起こす予定だったのです。そのような計画が昔からあったのです。
それもまた事実でございます。
犯行予告は見せつつ隠す。しかし、まさかの富士まで狙い。その理由は誰にも分かりません。一体、何のために。もはや壊滅状態までも望んでいるのです。それもAのです。
ただAは常に狙われております。それもまた事実です。
総理。私も元総理も悪いわけではございません。元総理が責任を感じなくてもすべては起こるべくして起こることなのかもしれません。止めるすべなど誰も知りません。
どうか気に病まないでください。罪をかぶるとしたら私も同じくです。
しかし、世界はどうしていつもこうなのでしょうか。どうして世界には闇があるのでしょうか。
もし世界に闇が存在していなければ。もっと平和で豊かな世の中なはずなのに。
現実とは時に残酷なものです。なぜ罪なき罪を背負ってゆかねばならないのか。悪いのは、すべての悪の根源はZだというのに。
もはや世界は暗闇で、事の真相を見抜く事ができません。そしてまた、この事をきっかけに世界は闇色に染まってしまうのです。
人々の心の中に闇が広がる。そしてそれを糧に闇の世界が深まってゆく。
無限ループ。
無限ループしてゆくのです。いつかこの無限ループが断ち切られる事を私は願ってやみません。願ってやまないのです。
これから先の歴史には必ずZから解放された世界があるのだと。Zから解放された世界があるのだと信じて私はこの世界を生き抜きます。生き抜いてみせます。
平和な世の中を夢見て私は前へと進みます。
いつの日か平和な世の中になると信じて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます