第12話 平成元年
総理、ご報告でございます。陛下が、陛下が年末ごろにはご公務に戻れるとのことでございます。ご容態も今のところ順調でございます。ご公務にも差支えないのではないかとの見解です。
私もお会いしてまいりましたが、お元気そうなご様子でございました。
「そうか。もうお身体は大事ないのだな。思ったよりお早いご回復だが、陛下は大丈夫なのか。本当にご公務をこなせるのか。今は陛下のお身体を一番に考えなくてはならないと思うのだが」
いえ、総理。まだ予断は許されないかと存じます。体調はご回復なさいましたが。なんとなくですが、私がお会いしてなんとなく感じたのですが。ご無理にお元気にふるまわれているのかもしれないと思わざるを得ませんでした。
陛下は皆に心配をかけたくないのではないでしょうか。少しご無理をなさっているのかもしれません。
そのように私は感じました。
「そうか。まだご養生していただきたいのだが」
はい、総理。私もそう思います。
しかし、医療チームの見解もございますし、国民の皆様にも陛下がご回復なされたということを知っていただくためにも、ご公務を行う必要があると思います。
「分かった。できるだけ陛下へのご負担がかからぬよう細心の注意を怠らないよう全力を尽くしてくれ。公の場で万が一のことがあっては大変だ」
かしこまりました、総理。そのように申し送り手配します。
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