第5話 プロローグ
「次期総理は私ということだな」
はい。さようでございます、総理。
私は分かっておりながらも、次期総理であり総理ではない貴方様に、この事実をまだお話すべきではなかったことは重々承知の上ですが。
それでも私は、その事実を次期総理に。すなわち、総理にお伝えしなければならないと。もうお伝えするしかないことだと決心いたしました。
本来ならば、このような話はご承諾の上でお話をしなくてはならないのですが、私の非礼をお許しください。
総理、貴方様には心の準備が整っていらっしゃいますでしょうか。現時点での私には総理に伝えるべきではないことの数々をまだまだ知っております。こんな話は総理にすべきではなかったことも重々承知いたしております。
しかし、総理。私には荷が重すぎます。私にはもう総理にお伝えしなければ。私一人の胸にしまっておくには辛すぎます。事実が辛すぎます。総理、どうかこの私をお許しください。総理、申し訳ございません。私の話す事実にどうか耳を傾けてください。
「分かった。
君の知る事実の全てを報告書にまとめたまえ。事実を知っておくことの重要さが今の話で分かった。事実は事実として知っておく。それが歴代総理の宿命だ」
はい、総理。
「君に順番が回ってきたように私にも順番が回ってきたのだ。
君一人で背負い込まなくてよい。事実を知ったかといって君が悪いわけではないのだ」
しかし、総理。
「他の者には知らせないという大切さもある。これからお互い様になるのだ。お互いが事実を知ることになる。そして、秘かに引き継いでいくことが重要となってくるのだ」
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