第30話 極東ヒカゲ。よろしく➁
画面に映し出される一人の美少女。
ミネネと似た柄の振袖姿。
綺麗な白銀の髪はツインテールにされている。
顔立ちは幼く、エマにどことなく似ている。
そんな彼女――極東ヒカゲは真顔で固まっていた。
「………………」
コメント欄:
『ん? マイク切れた?』
『音入ってない』
『機材トラブルか?』
『ありゃー』
………………………………
エマのあまりにも短すぎる自己紹介と、突然訪れた静寂に視聴者が戸惑っている。
分かっちゃいたけど、エマは声が良いだけで配信スキルは限りなくゼロに近い。
「あー……。お前ら、マイクに問題はない。すまんがヒカゲはこれが普通だ。基本的に喋らない」
コメント欄:
『草』
『マジで言ってんのかよwww』
『配信する気なくて草』
『放送事故でしょ笑』
『声にコンプレックスあるって姉御が言ってたからな』
『えぇ、これ本人やる気あるんか?』
………………………………
「まあ落ち着けお前ら。おいヒカゲ! もうちょい真面目にやらんと怒るぞ!」
「……皆、私の声笑ってない?」
「笑ってない笑ってない。ほら、コメ欄見て」
コメント欄:
『おっ、ヒカゲちゃん見ってるー?』
『声可愛いよー』
『とてもいい声です』
『怯えてる感じの声もまた……』
『良いよ……もっとオジサンに聞かせて…………』
『罵って欲しいです』
………………………………
「……気持ち悪い」
コメント欄:
『気持ち悪いいただきました!』
『やばい、興奮しそう』
『これは破壊力高い』
『最高だ』
『このメスガキが……わからせてやる』
『今日はこれでいいや』
………………………………
「おい、変なコメントはやめろ! あと、メスガキって言うんじゃねぇ!」
「……お姉ちゃんもメスガキってよく言う」
「私は良いだろ! お姉ちゃんなんだから!」
コメント欄:
『妹をメスガキ扱いする姉御……』
『複雑なご家庭?』
『酷い姉貴だ』
『流石にマズいですよ……』
『そもそも妹がメスガキっぽいって姉御が配信で言ってたんじゃんw』
………………………………
たしかに、ヒカゲのボイスサンプルをSNSにアップした日の配信で「ヒカゲの声ってなんか、メスガキっぽいよな!」みたいなことを私から話した。
しかし、あれは宣伝のための方便であって、私がヒカゲにメスガキを求めているわけじゃない。
全然エマのメスガキが癖になってるとかじゃないからね?
……ホント、違うからね?
「何で私だけ悪いみたいな空気にしてんだ! 乗ってきたお前らも悪いだろっ!」
コメント欄:
『姉御の責任は舎弟の責任。甘んじて受け入れよう』
『ふぅ、世話のかかる姉御だ』
『そのぐらいにしとけお前ら。消されるぞ』
『ヒカゲちゃんに申し訳なくなってきた。こんな姉御でごめん』
………………………………
ひでぇ言い草だ。
まあ、配信が盛り上がってるから良しとしよう……。
「はぁ……。じゃ、ヒカゲのプロフィールを紹介するぞぉ」
私は用意していたプロフィールを画面に表示する。
名前:極東ヒカゲ
誕生日:3月3日
年齢:0歳から数えてない
身長:149センチ
体重:四捨五入したら0
スリーサイズ:お゛っきぃ♡
趣味:歌
「ヒカゲ、自分で読め」
「名前は極東ヒカゲ、誕生日は3月3日、年齢は0歳から数えてない、身長149センチ、体重は四捨五入したら0、スリーサイズは……お゛っきぃ♡」
「ちょっ!」
コメント欄:
『え゛……』
『エッチだなぁ』
『ふぅ……』
『マズいですよ……』
『今日はこれでいいや』
………………………………
「テメェらやめとけ! エマ、なんでそこだけ忠実に再現してんだ! てか、これ書いたの誰だよ!」
「……お姉ちゃん。…………あっ」
犯人は私だった。
ちなみにネタではなく本当に忘れていた……。
なんでこれでオッケー出したんだよ田村の野郎!
「そういえば深夜テンションで私が作ってたわ……」
そんなことを言ってコメント欄を見ると、不穏なコメントが流れている。
コメント欄:
『やっぱ姉御は最高だな』
『……エマ?』
『妹に何やらせてんだこの人……』
『うーん、極東ミネネって感じ』
『てかエマって誰……?』
『エマ?』
『あっ、これ……』
『姉御やらかしてるやん』
………………………………
あっ……やっちまった。
「お姉ちゃんの馬鹿……」
勢い余って一番ダメなことやってるわ……。
これ指詰め案件では?
現在の同時視聴者数 4万人。
極東ヒカゲのチャンネル登録者数―― 2万人。
◆あとがき・宣伝
早速やっちまったなハズレ……。
という事で、こんにちは。真嶋です。
いつも私の作品を読んで下さる読者の皆さん、本当にありがとうございます。
皆さんの応援が日々励みになっています。
さて、今回は新作の宣伝をさせていただきたく思います。
今回は初めての異世界ファンタジーに挑戦しました。
女性主人公で、いつもの如く百合要素をちょっと入れようかなぁとか思ってます。
内容としては、魔法を学ぶ学園で落ちこぼれになってしまった主人公の奮闘記。
冒頭は結構苦悩しますが、その後は才能を開花させてドンドンと躍進する姿を楽しめる作品にする予定です。
タイトル:転生したら一般人の1/100しか魔力がないクソ体質だった私、それでも最強の魔導士を志す~【欠陥品】と馬鹿にされていたけど全部オリジナル魔法で何とかなりました~
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093074984840909
投稿頻度に関しては、ちょっとわからないです。とりあえず書き溜めてる分は毎日投稿で吐き出しますが、その後がどうなるかは今のところ未定。
三作同時連載が今の私のキャパでは限界なので、今後は暫く新作を出すことは無いかな……。
もしご興味いただけましたら、是非ご一読ください!
そんなわけで、新作の宣伝でした。
最後に、繰り返しになりますが皆さんの応援が本当に作者の励みになっています。
今後ともお付き合いいただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます