たかしと久しぶりの再会

第2話 たかしと久しぶりの再会

「ジュンヤ、ごめん。転勤で東京に行くから来週のゲーム遊べなくなった」


 仲の良かった同僚からのLINEから謝りスタンプと共に送られたメッセージを見て呆然とした。


 俺の部屋の周りを見渡すと、みんなで遊べるように用意したテレビと据え置きのゲーム機とコントローラー4つ、ボードゲームが埃被って置物と化している。


社会人2年目までは休みの日に大学時代の友達や会社で知り合った同僚や後輩をこの部屋に読んでワイワイ遊んでいたんだが、転勤やら結婚やらで忙しくなり、ひとりふたりと疎遠になりアラサー間近になってからはついに誰も来なくなった。


 ようやく、遊べるかと思っていろいろと準備していたのに……。


 仕事でも出世できずパッとせず、まだ借金するほどじゃないが一発逆転狙って貯金の半分つぎ込んだ仮想通貨がもうダダ下がりで損切したばかり。


 周りだけ順調に言っている中、俺だけがこの一人暮らしの部屋に取り残されているような感覚に苛まれていた。


 そんな嫌な現実から目を背けたいと思い、癒しのYouTubeをみて気分を落ち浮かせたら、突然LINEメッセージが届いた。


『よう!久しぶり!たかしだよ!今zoomでビデオ電話したいけどよろし?』


『いいよ』


 たかしは、小中学校の頃からの友達であったのは確か、成人式後の飲み会以来だっけ。


 俺はすぐに返事をしてスマホアプリ版のzoomを開き、たかしから送られた招待コードを入力したら、すぐにたかしの顔が画面に映った。


「うぉい!久しぶり!ジュンヤ!元気にしてるか!」


 たかしは小学校の頃からほとんど変わらず、ハイテンションで出迎えてくれた。


 寝癖まみれでカブトムシの角のような二本のアホ毛も、わんぱく小僧のような童顔も昔と変わらず、たかしだけ小学校の頃となんら変わっていないように思えてなんだか懐かしい。


「まぁまぁだけど、たかしって本当に変わっていないな」


「あぁ、優夫《まさお》にも言われるんだけど、さすがに背は大きくなったゾ」


「優夫か、懐かしいな!優夫と連絡とり合っているのか?」


 優夫もたかしと同じく、小中学校の頃からの友達でよくテツヤとマサルの5人でよく遊んだっけなぁ、次々と思い出がフラッシュバックして涙が出そうだ。


 みんな、何をしているんだろうな、最近会っていないからどこへ就職して何をしているのか分からない。


「連絡、というかつい一週間前に優夫と中学の頃の友達とゲーム会社のお偉いさんと対談したゾイってあれ?ジュンヤっておいらのYouTube動画は見ていないのか?」


「なんの話?おまえYouTuberになったのか?」


「ふむ、良くも悪くも偶然なりゆきにまかせたらYouTuberになってな」


 たかしから聞いた話は長く、主語、術語の関係が崩れて聞き取りづらいが分かりやすくまとめるとこうだ。


去年、たかしが会社の夏休みを利用して東京へ旅行しにいったら車のひき逃げ事件に遭遇。


そこで酷い状態で死にかけていた男性をたかしがすぐに助けて救急車と警察に通報。


 救急車と警察が到着するまでたかしは服を脱いで包帯代わりにして、死にかけている彼の足に服を巻き付けて止血して心臓マッサージをして助けていた。


 後にその男性は、実はゲーム実況で有名な大人気YouTuberだったことが判明。


 そのたかしの助ける様子をYouTubeの生放送で配信されたのをきっかけに、たかしの存在が知れ渡るようになり、いつの間にかyouTuberデビューを果たしていたという。


 現在は、助けたYouTuberのお世話になりながらゲーム実況をしていたもののゲーム実況としてはポンコツで何故かコラボ相手が謎の事件やトラブルに巻き込まれるといった貧乏神じみた奇跡を起こすことで有名になったそうだ。


そして、その繋がりで優夫と人気の漫画家としてデビューした優夫と対談したという。


「まじかよ…」


「マジだ。そして、ジュンヤに連絡したのは、その大人気YouTuberたちと一緒にある企画に参加することになったが、ジュンヤも参加しないか?優夫もみんな参加するからついでに同窓会もやろうぜ」

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