弟子が不死鳥を探したいと言い出しました〜不死鳥ってなに!?俺そんなの知りませんけど!?〜

鋼音 鉄

伝説の陰陽師と弟子陰陽師

「晴明師匠、不死鳥って知ってます?」

「いや、知らないね。不死鳥って事は鳥の妖怪だろう?」

「いえ、妖怪では無く、幻獣ですね」

「げん、じゅう……?」


陰陽師……いや、全生物で最強と讃えられる男、安倍晴明は困惑をしていた。不死鳥と呼ばれる霊鳥フェニックスは、日本と同じ東洋の国、エジプトの伝説ではあるのだが、関わりは無い。日本からエジプトに行ける手段が無いのだ。いや、無い事は無いのだが、周囲がそれを許さない。


陰陽師と妖怪達が拮抗しているのは、晴明という存在があるからだ。晴明という強力な存在が、妖怪達に強気に攻めさせない。そんな男が日本から離れれば大事になるのは火を見るよりも明らかだ。目の前の晴明の弟子である男も妖怪達を殲滅させる実力は持ち合わせているのだが……影響力という点では晴明に劣る。


「俺、不死鳥を探しに行ったんですよ。でも、見つからなくて、【トリあえず】持って帰ったのが此奴なんです」


そう口にしながら、収納の陰陽術の中にある生物を取り出す。取り出された生物は、黒い亀であり、脚に長い蛇が巻きついていた。


黒い亀、その者から発せられる神聖力。神と並んでいると思わせる程の力。久方ぶりの冷や汗が額から流れる。


かめだろ、それは。鳥とかけ離れ過ぎてない?それにこの亀、力量的に神の一種でしょ」

「正解ですよ、師匠。この龜は玄武という名前で北方の神と呼ばれています」

「……今すぐ返して来なさい、暁。多分現地の人達困ってるから。その北方の神、様々な人から信仰されている神っぽいから」

「でも、玄武と俺の約束なんですよ?現場が俺のペットになるのは。戦闘勝負をして負けた方の下に就き、主人として忠誠を誓うって」


玄武の方を見てみれば、「うんうん」と頷いていた。この北方の神は何と自分勝手だ、と思ったのだが、それはこの国でも同じ。極稀に欲望が暴走して妖怪に堕ちてしまう事など、晴明は見掛けた事がある。


晴明は思考を辞めた。

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