手紙の内容

 ここはザルべドルの町長の屋敷。そして、ミクセアの屋敷でもある。

 あれから幸とミクセアは屋敷に戻ってきた。その後、客間でブロバルと話をする。


 現在、幸はブロバルに真実を話していた。


「そうか……それは災難だったな。だが、隠していたことなど気にすることはない。私とて、コウ様のように能力を授からなかったら言えないだろう」

「そう言って頂きありがとうございます」

「うむ、それで……森の状況はどうだったのでしょう?」


 そう言いブロバルはコウを見据える。


「はい、森の状況なのですが……」


 幸は森でのことを話した。


「なるほど……ジェルスラ。それも森には、他の魔物や魔獣が居なかったと……確かにおかしい」

「それで、ミクセアとも話したんですけど。ジェルスラキング一体だけでは、それほど強くないと」

「ああ、ジェルスラキング一体であれば……熟練の冒険者なら容易く倒せるだろう」


 そう言いブロバルは考える。


「じゃあ、やっぱりジェルスラキングが何体か居るという事か」

「そうだとしても、ジェルスラだけしか居ない理由にはならん」

「そうですね……そうなると、誰かが関与しているかもしれない」


 そう言いながら幸は、リュックの中から女神の手紙を取り出した。そして、女神の手紙をテーブルの上に置きミクセアとブロバルにみせる。


「この手紙は、女神からです」

「おおっ、これが女神の手紙か!」

「なんて可愛らしい便箋なのでしょう。それだけではなく、随分はじけた文章ですね」


 そう言いながら二人は、女神の手紙を目を輝かせながらみていた。


「そ、そうですね……。それで、そこに書いてある女神からの頼みごとを読んでください」

「うむ……なるほどな。これが本当なら、森で起きている件も」

「ですね。ですが、なんでこんなことになったのでしょう?」


 ミクセアにそう聞かれ幸は悩んだ。


(確かに、ミクセアの言う通りだよな。どうして転移者がこんなにいる? それも、全員なのかは分からないが……悪さを平気でしてるんだ)


 そう思い幸は、手紙へ目線を向ける。


「俺も、理解できません。そうなると……実際に会って問い詰めた方が早いかもしれない」

「そうですね……私も、そう思います」

「そうだな。だが、ここに書かれていること……それとあてはまる能力か」


 それを聞いた幸は、手紙に書かれた転移者の能力をみた。


「ここに書かれている名前って、全てなのでしょうか?」

「ミクセア、どういう事だ?」

「この便箋には五人の名前と能力が書いてあるけど、ここに書けるだけしか記載していないように思えたのですが」


 そう言いミクセアは、転移者の名前が書かれた部分を指差す。


「それはあり得るな。そうなると……やっぱり直接、確認するしかないか」


 幸はそう言うと手紙を持ちリュックの中に入れる。

 そしてその後も幸は、ミクセアとブロバルと話していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る