無能力なので努力をする転移者の英雄譚〜俺は能力が皆無だけどさ、努力してこの世界でやってやるぞ〜!!『はい分かりましたので、ちゃんと仕事しましょうね♪』

ミケネコ ミイミ♪

序章

どういう事だ!?

「ここはどこだ?」


 そう思いながら男性は、立ち上がり周囲を見渡した。


「どうみても、ここって……どっかの草原だよな」


 そう言い男性は、なんでここにいるのかと考えてみる。――……


 ◆◇◆◇◆◇


 ここは、とある町の歩道だ。学校の帰り道、男子高校生が色々考えながら歩いている。


(フゥー、やっと引き継ぎが終わった。あとは大学の準備だな。推薦も通ったし、さて……何をするかなぁ)


 そう考えていた。


 この男性は日比野ひびのこう、十八歳で高校三年生である。


 幸は今日まで部活をしていた。その部活とは陸上である。そう今日その引き継ぎを済ませて、ホッとしているのだ。


(そういえば最近、忙しかったからアニメ観てないなぁ。ゲームもやってない……。帰ったら、どれかやろう)


 そう思いながら歩いている。


 “……助けてお願いです……貴方にしか――………”


 そう女性の声が聞こえてきた。


「……!?」


 幸は言葉を発声する間もなく、自分の真下に黒い穴が現れ落ちる。


 ◆◇◆◇◆◇


 ……――幸は思い出した。


(あーそうだった。なんか変な黒い穴に落ちて……確かあの時、女の人の声が聞こえてきたようなぁ)


 そう考えていると幸の目の前に、ヒラヒラと一枚の紙が落ちてくる。その紙を幸は取った。


「手紙?」


 その手紙を読んでみる。


 ―― 【ごめんなさい、ギフトを授け忘れたから自力でなんとか頑張ってね……テヘッ(*ノω・*)テヘ♡ それと、この世界のこととか教えておきます――…………】――


 そう書かれていた。


「う、嘘だろぉぉおおおー!!」


 そう叫び頭を抱え見上げる。

 その後、空を見上げたまま睨んだ。

 そして、ハァ〜っと溜息をついた。

 再度、幸は手紙に目線を向ける。


(怒っても意味ないよなぁ……それで戻れる訳じゃないしさ。それはそうと、ちゃんと読み直すか)


 そう思い幸は、手紙を読み直した。


(俺をこの世界に転移させたのは、女神サンラアキア。そしてこの世界の女神かぁ。

 そんで、この世界はアルデバルド。……地図ぐらいよこせよ。地名とか書かれても、何がなんだか分からん)


 読んでいたが分からないため、リュックに手紙を入れる。


「とりあえずは、北西を目指せって書いてある。……って、おいっ! 北西ってどっちだ?」


 幸は再び頭を抱えた。


(えーっと、落ち着け……太陽の向きをみれば分かるよな……)


 そう思い太陽を探す。


「……」


 幸は絶句する。そう太陽らしきものが見当たらないからだ。


(太陽がない……なのに明るい? どういう世界なんだ……意味が分からん)


 考えすぎて幸は、頭が痛くなった。


 因みに太陽はある。しかしサンアラキアが、能力を使い隠しているためみえないのだ。

 なぜそうしているのか。ただ単に、自分より目立つ存在が嫌いなだけである。


(まぁいいか……とりあえず村か町をみつけよう。そこで、改めて手紙の内容を整理するかぁ)


 そう考えがまとまると幸は、やる気のないような足取りで歩き出したのだった。

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