3-2 最後の願い

ニシ:「えっと……」

ヒガシ:「みてみて、後ろにいるお馬さん黒い斑点がついてて牛さんみたいだよ!」

ミナミ:「彼は……タビットですね」

(トドロキ):「ご注文は?」

(謎のタビット):「冒険者を集めるだけ集めてくれ! わしは依頼を頼もー!! としておるのじゃ!」

レフト:「そ、それでたのもー……?」

キタ:「ってか依頼だって? 爺さんまじかよ!?」

(謎のタビット):「そうじゃ! このワシ、イノウ・タダタカ、学者としての人生を賭けた一世一代の大勝負じゃー!」


キタ:伊能忠敬かー……(笑)

ニシ:確かにこの時期だったな地図書いたのって。

レフト:タダタカさんモフモフ? どんな外見してる?

GM:黒い兎さんやな。タビット基準ではそれなりに大きなリュックを背負っている。あと後ろにいる馬にもまあまあな荷物を乗せているね。あとモフモフだよ。年取って毛のコシがなくなったせいか子ウサギのようなふわふわ具合だ。

レフト:ほほーう(笑)


困惑する一同であったが、それでもこの老人ならぬ老兎がこのギルドへ依頼を持ちかけようとしていることは理解できた。とりあえずお茶と数種類のおでんを机に置き、彼を出迎えた。早速依頼内容を聞く……手筈なのだが、


レフト:「も、モフモフだ……」

タダタカ:「どうした若人、タビットは初めてかの?」

レフト:「あの、えっと、触っちゃ駄目ですか?」

タダタカ:「構わんよ。こんな老人にすりすりした所で誰も咎めたりせんわい」

レフト:「じゃ、じゃあ遠慮なく……」まるでエロオヤジのようなやらしい手つきで慎重に触る

キタ:「レフトの手つきが気持ち悪りぃ」

ライト:「動物好きなのか?」

レフト:「いや〜昔からモフモフした小動物が大好きで……ついモフモフしてしまうんですよ」

ミナミ:「そのままでも構いませんので、依頼の詳細をお願いします」


レフトの経歴を解明

・恥ずかしい癖を持っている

とあるの小動物を除いて、ふわふわを見つけるとこう……モフりたくなる衝動に駆られてしまいます。ご心配なく、こう見えてゴッドハンドなので! 割と動物達には好評なお手前なので!


タダタカはようやっと依頼の説明に入る。


(タダタカ):ズバリ! 地図を描くワシを護衛しつつ、ここより南に位置する港町、横須賀ヨコスカまで連れていってくれい!

ニシ:「ヨコスカ?」

キタ:「カナガワミナトを超えた先にある造船で有名な江戸に次ぐ大都市だ。結構歩くぜ。しかもじいさん、なんで地図なんか描くんだ?」


(タダタカ):「ワシは今から数週間前に、エゾというここよりはるか北にある大きな地方の地図を完成させた」

ライト:「何のためにそんなことを?」

(タダタカ):「今だにこのヒノマルは正確な地図が存在していないからの。作ればワシは第一人者よ」


タダタカは軽快に笑うが、すぐに神妙な顔つきになる。


タダタカ:「数日前、ワシと志を同じくした師匠とその部下が地図を描きながらヨコスカを目指したが……何者かに襲われたようでな。聞いた話によると、部下を命懸けで助けて帰らぬ人に……」


息が詰まる。タダタカは暫く俯いたのち、再び口を開いた。


(タダタカ):「じゃが茫然自失になって布団にくるまっとったワシの所に、昨日死んだはずの師匠が現れたんじゃ!」

キタ:「は?」

レフト:「い、生き返り?」

(タダタカ):「タダタカ、私の未練は君に託す。そういった師匠はどこかに行ってしまった……ワシは思った! それは師匠の最後の願いじゃと、そしてワシは生き残った師匠の部下と共に冒険に出ると決めたんじゃ! もちろん護衛として冒険者も連れての!」


ニシ:え、え? 今回幽霊系?

GM:どうやろな。タダタカはここでようやく依頼書を提出してくるよ。刮目せい!


依頼内容

タダタカ・イノウと部下2人を連れてカナガワミナトの地図を書きつつ、横須賀へ迎え。


成功条件 タダタカと部下2人を連れカナガワミナトを通り、横須賀まで無事に送り届ける。(地図を作製しながらの移動で1週間かかる)

報酬 人数×1400G


キタ:追加報酬は?

GM:隠し報酬はいくつか準備してる。提示したら隠しな意味ないから話さんし書かんけどな。

ライト:1日200G+上手くいけば隠し報酬って考えたらいい仕事じゃないか?

レフト:『レフト』も同意見だと思う。少なくともバイトよりかは全然高い給料だし、あとお爺さんモフモフだし。

GM:もふもふは無敵か(笑)

ヒガシ:モフモフはともかく面白そうな依頼だと思うよ(笑)


モフモフはさておき、タダタカの依頼を受け受けることにした一向。短期間とはいえ1週間の遠征の為に準備を始める。


(タダタカ):「受けてくれるのか!? ありがたい! であれば善は急げで明日出発、雨天決行じゃ!」

ミナミ:「保存食は……そう言えば先の大食い大会でいただいたものがありましたね。なら必要なのはテントと着替えセットですか。幸い飲酒好きもいないのでそこは気にする必要なさそうです」

ライト:「食器セットとかも必要だよな。今の所買いたいものもないミナミとオレが適当に調達しといてやるよ。それでいいよな、ミナミ」

ミナミ:「はい。手早く集めましょう」

(トドロキ):「1日目のお昼のためにお弁当も作らないとね。腕によりをかけるよ!」

GM:はいはい。ではお爺ちゃんことタダタカのプロフィール公開でーす。




キャラ名:タダタカ・イノウ

年齢:35歳 性別:男

種族:タビット(黒毛) 生まれ:学者

HP/26 MP/24 生命抵抗:6 精神抵抗:7

器用:8、ボーナス1

敏捷:8、ボーナス1

筋力:10、ボーナス1

生命:14、ボーナス2

知力:28(+2)、ボーナス5

精神:18、ボーナス3

【技能】

セージ4、ソーサラー2、ライダー1

【騎芸】《騎獣強化》命中+1、回避+1

【戦闘特技】《ターゲッティング》《防具習熟A/非金属鎧》

【装備】鎧/アラミドコート

【所持品】

冒険者セット

羊皮紙(5枚セット)×10

筆記用具(筆、墨などなど)

食器セット

調理道具セット

テント(4人用)

魔晶石 《5点》×2

非常食1週間×2

着替えセット1週間分


【騎獣専用装備】

騎獣用革鎧

ビックホーン


【所持金】

213G

【装飾品】

右手/魔法の発動体

   叡智の腕輪


理想に燃える老人(人間換算で70歳前後)。今は亡き師匠の想いを注ぐため、筆記用具と魔法を武器にヒノマルの地図完成を目指す。歩いて計測する方法をとっていることから普段の移動で馬を使う事はないが、戦闘になると相棒のホース『星』に乗ってタビットでありながら自ら前線に出る。


【騎獣】(ホース)

星 レベル4

HP34 MP11 弱点:物理ダメージ+2

(装備や騎芸で上がったステータスも含みます)

攻撃方法(部位)蹄

命中力     6+1

打撃点     2d+3+1

回避力     5+1

防護点     4+1

生命抵抗    7

精神抵抗    6


主人であるタダタカを慕う牛のような黒い斑がついた馬。現在は3歳で、2歳の時にタダタカとエゾ地の地図を描くために共に旅をした記録は彼にとって忘れられない思い出。軟弱な主人を乗せて守りながら戦陣を駆ける。


総評:タビットのか弱さを騎獣でカバーする前衛の魔法使い(なお回避はない)


歴史コラム 星を愛した男 伊能忠敬

伊能忠敬は元々商人であったが、小さな頃からの星への憧れを捨てきれず初老の時天文学者に弟子入りした。その時代、天文学の関心は一体地球の大きさはどれくらいなのかという事。忠敬は日本の大きささえ分かれば、なんやかんや計算して地球の表面積を割り出せる事に気づく。そして地図を完成させた後、忠敬の計算によって弾き出された地球の表面積は、現代の学者が機械を用いて導き出した結論とほぼ同じであった。史実の忠敬に愛馬がいたという記録はないが、今回は愛馬に自分の好きなものの名前をつける別世界のタダタカということです。


ニシ:変なビルドだなぁ

ヒガシ:魔法って片手で出来るんだっけ?

GM:タダタカの魔法の発動体は指輪型やからな。左手で手綱持って右手で魔法使うイメージ。

レフト:普通に面白そうだからいいと思う。攻撃きたら回避出来ないけどどうするの?

GM:こやつが装備している装備品と高い精神抵抗力を信じたまえ。そもそも魔法攻撃ならまだしも馬に乗ってるやつの回避になんで本人の回避力が必要なのかGMが逆に教えて欲しいぐらい。

キタ:つまり何も考えてないってことだな。

GM:悪いなサポートNPCは面白くユニークに、されど強すきずをコンセプトに設定しているんだ。ニシよタダタカを頼んだぜ。

ニシ:りょーかい。

GM:兎に角買い物や。何買うで?


GMといろいろ話し合った上で、以下の物を購入。


キタ

太矢12本(20G)を購入


ミナミ

食器セット6人分(72G)

着替えセット6人分(60G)

毛布4枚(160G)を購入


ライト

4人用テント(250G)を購入


調理道具セットと足りない人数分のテントはタダタカのを使うものとする。


ライト:さっきのバイト代もうなくなったんだが?

キタ:意外と高いよなテント。


準備を終えた一行。エドの城下町から南にある横須賀を目指しいざカナガワミナトへ。



安全な城下町から門を一つ潜ればもうそこは魔物たちの世界。整備されていない土地は危険に溢れ、いつ彼らに狙われるかもわからない。しかも地図を書くとなると自然も脅威だ。浜辺や海岸は勿論のこと、断崖絶壁にも向かうことになるだろう。そんな所でもタダタカのテンションはあいも変わらず、いな昨日よりさらに元気になってるかも知れない。相棒の星と恐らく彼等が師匠の部下であろうか? 2人の男を連れていた。


(タダタカ):「来てくれたか! ワシと星は元気満タンじゃぞ。おっと失礼。此方は師匠の部下、キスケとヨンタじゃ!」


キスケとヨンタと名乗る男2人は礼儀正しくお辞儀してくれる。……でも先の師匠が亡くなった襲撃でできた傷だろうか。2人とも程度に差はあれど片手に包帯を巻いているね。


GM:ちなみにコイツらは怪我人ってのもあって戦闘には加勢しないよ。あくまでも地図を描く手伝いがメインだからね。テントや食器セットに毛布などなどは2人分のを既に持ってるから心配なく。その前に冒険に出る君たちに贈呈品だ。


トドロキからお米30食分と野営用炊飯器を貰った。星に取り付けられている持ち物袋に入れておいた。


ヒガシ:そんなご丁寧に……流石トドロキさん。

キタ:これ以上持ったら重くなりそうだし、30食分ぐらいが丁度いいかもな。

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