3-1 依頼者は突然に

GM:前回のセッションから3日立ってるぞ。生活費の徴収と、キタはバイトやね。好きなバイト選んでくれ。


※判定は能力値ボーナス×バイトの日数×2dでだします。

例:(筋力ボーナス+冒険者レベル)6×(バイトの日数)3×(2d)7=126G


給仕

酒屋花丸にてウェイターの仕事をする

器用度ボーナスで判定


清掃

老舗旅館の客室と脱衣所の清掃

敏捷度ボーナスで判定


積荷運び

出航する船に食料や生活用品の入った積荷を運ぶ力仕事

筋力ボーナスで判定


夜間警備

深夜に不審者や火の元に注意しエドの町を歩く

生命力ボーナスで判定


マテリアルカードの量産

マギテック協会にて粗製マテリアルカードを使ったマテリアルカードの量産と種類分け

知力ボーナスで判定


保育

家業など仕事の都合で預けられた寺子屋に入る前の1〜6歳ほどの子供達の面倒を見る

精神力ボーナスで判定


キタ:ステータス的に給仕や清掃、保育……働くだけじゃなくて依頼の情報も集めなきゃだしな。酒屋はトドロキさんに任せて思い切って保育で色々探ってみるか! 子供の情報網を頼ってみる!

ライト:なら俺も保育で働く。どうせやる事ないし、『ライト』も大人より子供の方が話しやすいだろうし。

GM:りょーかい! なら2人は学童保育。他の連中はまあ好きに動いてくれ。


エドでの生活

キタ&ライト 必殺技とは?


エドでは種族関係なく、7歳から12歳の子供達は寺子屋という学舎で人生において必要なことを学び、13歳から両親の元家業を手伝う。そして6歳以下の子供達の世話をしている現代でいう保育の仕事も存在していている。


(男の子1):「わぁこいつちっちゃいぞー!」

(男の子2):「でもめちゃくちゃ足はえ〜」

キタ:「よーし! 次は水切りのコツ教えてやるよ。目指せ向こうの河川敷へ!」

(女の子1):「おにいちゃん、このまえの大食いみてたよー」

(女の子2):「かっこよかった!」

ライト:「ど、どうも……」

(男の子3):「なあひっさつわざ作ったんだ! 見てくれよ!」

ライト:「必殺技……?」


子供の中でも冒険者というのは広まり始めているようだ。幕府が公認しているかなど眼中にない無邪気な少年少女はひたすらに2人に特別感を覚える。たった3日の付き合いとは思えないほど、2人はすっかり人気者になっていた。その中でも特に人気になっていたのはライトだ。


キタ:「お前、ひょっとして保育の経験あったりする? 子供が寄ってくるし、エルフの癖に神経質じゃないと言うかさ」

ライト:「あー……家が金持ってて、親戚も住んでるけっこう広いところだったからさ。年下の面倒は割と見てたかも」

キタ:「ふーん」(小賢しいことでお馴染みのエルフの金持ち大家族とか碌な環境じゃ無さそうだなとか考えてる)


ライト:「なあ所で、必殺技ってなんだ?」

キタ:「は?」

ライト:「子供達が必殺技なるオリジナル武術を披露してくるんだ。だが戦闘中にやるには少しばかり隙が多すぎるというか……要は技としてまだまだ未熟なんだ。彼等の動きを汲みつつ実際の戦場で使う事も想定した、もっと完成された技を見せた方が今後の教育にいいはずだと考えてな」


キタは呆気に取られ、そして数秒後に我慢できなくなったと言わんばかりに笑い出した。


ライト:「な、なぜ?」

キタ:「いやなに、そりゃ子供に好かれるわなってさ! いいぜ。お前はエルフだけど、今回は特別だ! コンビ技完成させるぞ!」

ライト:「コンビ技……? まあいい。よろしく頼む」


学童保育のバイトが終わった河川敷で2人して珍妙なポーズや技名を叫んぶその姿は、大人達の目はともかく子供にはさぞかっこいいヒーローとして映った事だろう。


キタとライトの生活費

自炊中心の質素な暮らし(1日10G)

10×3(日)=30

給与

キタ→8×3×(2d)5=+120G

ライト→6×3×12=+216G


キタ→+90G

ライト→+186G


浅草寺にて

ニシ&ミナミ 執事の卵


ニシ:「これとかどうよ!? ハイカラってやつだと思うんだけど」

ミナミ:「先進的な柄ですね。ですが少し派手過ぎます。ヒガシさんには似合わないかと」

ニシ:「そ、そうか……」


浅草寺に広がる小物の出店にて、ニシはヒガシに送るフード付きマントを物色していた。ミナミは酒屋の手伝いで3日も外に出ず籠っていた事をトドロキに心配されて、ニシとともに前回の冒険ぶりに外へ出たところだ。今はニシが進める奇抜な……いいや前衛的なデザインのフードにダメ出しをしている。


ミナミ:「切り口を変えましょう。デザインだけでは無く、長持ちする素材なのか、防寒としても役立つのか。判断基準は多岐にわたります」

ニシ:「……そんなの知らねえ」

ミナミ:「といいますと?」

ニシ:「俺の可愛いヒガシならどんなマントも似合うから。長持ちしなくてもまた買ってあげるから。寒いのも熱いのも兄ちゃんが守ってやるから。俺が着せたい物をヒガシに着て欲しい」


なんとも思い切った言動。ワガママと弟思いを両立した発言が出来るニシのブラコンっぷりにミナミは困惑した。……しかし、ミナミの世界は少しずつ広がっている。


ミナミ:「であるなら、先程までに提示した物の中でも1番ヒガシさんに着てみてほしいそれを厳選しましょう。ヒガシさんなら、ニシさんの選んだものならなんでも来てくれる。そう判断しました」

ニシ:「そ、そうか? ……なんかお前参謀というか、執事? みたいだな」

ミナミ:「執事?」

ニシ:「うん。意見を汲んで助言して、サポートする。なんかそういうの向いてそう」

ミナミ:「……恐縮です」


ニシが買ったのは角の飾りがついた竜柄のフード付きロングマント。弟の喜ぶ顔を想像してはニヤニヤしているニシを見つめるのは、経験を始めとした何もかもが欠けている最年少のミナミ。それでも今にも周りに期待されて、信じる力を少しずつ受け止め始めた執事の卵。いざ孵化しようと殻を内部から叩き始める音がした。


ニシとミナミの生活費

自炊中心の質素な暮らし(1日10G)

10×3(日)=30




寛永寺にて

ヒガシ&レフト ふたりの寂しんぼ


ヒガシ:「ここが寛永寺だって……」

レフト:「ふむ……此処にもヒノマル特有の建築様式。ここまで様々な文化が入り乱れても改築技術が廃れることがないのは流石の一言です」


寛永寺はエド城の北東にあたる鬼門を封じ、将軍家を守るための祈祷寺として建てられた。もう少し暖かくなれば桜が満開になること間違いなしの桜の名所でもある。


ヒガシ:「レフトは勉強のためにヒノマルへ来たの?」

レフト:「妖精使いとして腕を上げることも目的ですが、勉強もそうですね。……ここには僕を知る人は誰もいない。のびのびと勉強に取り組めます」

ヒガシ:「……知らない人しかいないのは寂しくないの? 僕はその、兄さんがいたから村から出る勇気が湧いたけれど」

レフト:「そうですね。もともと友達も少ない方だったので孤独には慣れてますよ。……厳密に言えば知らない人がいないわけでもありませんし」最後のはボソッと呟く感じで

ヒガシ:「え? つまり?」

レフト:「内緒です……ヒントは僕の妖精さんでしょうか。さあ、街の探索と情報集めですよ!」

ヒガシ:「えー教えてくれないの?」


レフトの言葉の意味を理解出来るのはもうしばらく先の話。まだ蕾が出来たばかりの桜並木を突き進むふたりは意外と似たもの同士だ。


ヒガシとレフトの生活費

自炊中心の質素な暮らし(1日10G)

10×3(日)=30



GM:さてさて。あんまり情報集めの成果が見込めずに取り敢えず花丸に集まるで。部屋は花丸の上の階にある部屋を好きに使っていいからと言われたから、払うのは食費だけだけど早いとこ依頼を受けないといつかは赤字になっちゃうね。

ニシ:「どうすっかなぁ……」

(トドロキ):「ごめんね、せっかく所属してもらったのに……」

レフト:「いえいえ。最近は冒険者の数も増えています。仕事を取り合うこともありますよ」

ヒガシ:「……僕達もキタにバイト教えてもらう?」

ライト:「まあまて。まだ金銭的にカツカツというわけではない。焦らず探そう」


6人とトドロキが頭を悩ませていたその時。彼はいきなりやってきた。引き戸タイプの扉がガラガラと音を立てて、全員が入り口を見る。外からやって来たのはやけに多い荷物と後ろには黒い斑点がついた白馬を携えた小さな兎。


『たのもー!!!』

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