12.「いいコンビじゃない」
途端神々は互いに噛み付くと、糸が切れたように海中へ落下した。太い柱のように上がった飛沫が海面をグラグラ揺らし、煮立ったように
全滅では無い。商店街で
それでも三分の一まで減らされた神の群れは
浅瀬まで迫った神の群れは、巨大な横断幕のように私達の視界を覆った。既に波打ち際に踏み込んでいる私はそれらへ狙いを定め、両手で握った木刀を右へ薙ぐ。
先頭の空飛ぶ腐った肉塊のような神を捉えた打撃は周囲を巻き込み、横断幕を払い除けた。バラバラに散った群れは地に叩き付けられ、雪と飛沫が舞う。
「
感心したような
首を回しかけると、右方向で生じた衝撃に臓腑を揺らされ振り向いた。
払ったばかりの神の群れが、粉々になって波に攫われようとしている。その中心には腰を上げながら右肩を回す
「ナイス先制! 目で追えなかったぜ」
見失ったのはお互い様だし、三分の一まで減らされたとは言えあの数を全部砕いたってのか。今の一撃で。
いや、
神と仏は別物だろうと言いたくなるが、それらを同一視するという神仏習合思想もあったのがこの奇妙な国。どっちも同じように扱うから、軽んじられれば神も仏も忘れられば一つとなって襲い来る。つーかこいつ、聴覚無いのに〝劫末音義〟を食らった奴らに紛れて海に沈んで、バレないように接近して来たのか小賢しい。
仏像モドキは倍速再生される動画内の操り人形みたいな動きで立ち上がり、
「うえキモ」
仏像モドキの足元に立つ格好になった
それを横目で見送りながら跳んだ私は、仏像モドキの横っ面を木刀で打ち、折った首ごと海へ送り返す。
巨体を投げ込まれた海から強雨のように飛沫が上がり、乱れた海面が不規則な波を寄越して来た。私はそれに攫われまいと後退する、
「ご無事で」
「ええ。万事快調よ。こんなに早く片付くとは思ってなかったけれど」
仏像モドキが出て来ないか様子を窺っていた
「いやーやるじゃねえか! 流石は〝劫末音義〟とそれを臆さず仕える侍女!
〝劫末音義〟と技の名だが
「
「その数百の残党を片付けてくれるのはあなただけよ。この町の避難だって神の群れからじゃなくて、私の〝劫末音義〟に巻き込まれて死なない為のものじゃない」
そう。他の
神よりも恐ろしく、それを処分する
あの数を一撃。例年通り私一人での対応なら、まだまだ交戦中だった。性格も合わない様子では無さそうだし、いいコンビになると思う。性質は違えど、天才同士なんだから。
つい口を閉ざしていると、
「いいコンビじゃない」
「えっ?」
「あなたと
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