第2話

あのひととわたしは、離れ離れ。

会いに行こうとすれば、逢えるわ。

海と山。

たったの車で2時間の距離だもの。

あのひとはゲージュツ?で忙しい。

わたしは、ゲンジツが忙しい。

ずっとわからなかったんだ。

どうして、わたしの為に、眼の前のわたしじゃないものを見るのか?

わたしが笑ってれば、それで良いの。

このわからずや!


それでも、どうしても、あのひとは違ったみたい。

あのひとのゲージュツが完成したら、わたしがずっと笑って、あのひとも笑えるんだって、そんな風に思ってるのかな。

だから、少しきらいになっちゃった。

だけど、今は大好き。

そして、わたしだけは知ってる。

あのひと、ちゃんと笑えないんだ。

わたしにも、むつかしい。

だけど、わたしじゃなきゃ、とうてい無理に決まってるんだ。


あのひとを、心の底から笑わせるなんて。


スカートが濡れて来た。

諦めて、手を離す。

夏の日差しにきらきらした水面。

うん。

お塩なんかじゃなくて、この輝きはお砂糖。

きっと、そうに、違いないんだ。

このまま、

このまま、

冷たくて、気持ちいいな。

あのひとも隣でこうしてたら良かったのに。

竜宮城へ、一緒に行きましょ?


ねえ、気付いた?

わたしもあなたも、ゲージュツなんだよ。

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