父さん、母さんアシストいらんよ!
モッピー
第1話 転校初日
俺、山下大地は親の会社の都合で5月という中途半端な時期に引っ越しをする事になった。
学校も転校する事になったのだが、正直高校1年生になったばかりで、尚且つ中学の時の友達がいる訳でもなかったので特に転校して寂しいとか感じる事はなかった。
自分で言うのはどうかと思うが、俺のコミュ力そして見た目は中の中だと思う。
少中とぼっちになっていたわけでもなくそれなりにつるむ相手はたくさんいた。
まぁ、だから今日から通う事になる学校でも上手くやっていけるだろう。
俺の自己評価はそんな所なのだが…
「大地制服似合ってるわよ!!」
「おぉ、イケてるじゃないか大地!!」
…俺の両親のテンションが高かった。
「前の制服とそんなに変わらんでしょ…。」
俺はそう言ったのだが…。
「前も良かったけど今回のもまた違った良さがあるわね!」
「そうだぞ、大地!その制服姿もイケてるぞ!」
「もぉ、あなたったら!イケてるばっかりじゃないの!」
「いやー、大地はイケてるからなー!
はっはっはー!」
…すいません、俺のテンションがついていけてません。
なぜ朝から制服を着ただけでそんなに褒めちぎってくるのだ。小学生とかならまだ分かるが、高校生になってこれはさすがに恥ずかしい。
「父さんも母さんも恥ずかしいからその辺で。ってか、父さん仕事は?」
「おーっとぉ、大地の制服姿に見とれて時間を忘れていたよ、いってきます」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい、あなた」
「「チュッ♡」」
…うん、息子としては目の前ではやめてほしいかなー。はっはっはー。
ヤベェ、父さんみたいになってたよ。
そうして父さんは車に乗って会社へと向かっていった。
「大地も朝ごはんしっかり食べて行ってね」
「ありがとう。ってか朝から豪華過ぎない?」
ホテルのモーニングのように和食も洋食も用意してくれてあったのだ。
「今日学校初日でしょ。たくさん食べて元気に行って欲しくてお母さん張りきっちゃった~」
母さんの心遣いに感謝しながら、朝食を頂いた。
「ご馳走様。どれも美味しかったよ。」
「お母さんたくさん作っちゃったから大地がいっぱい食べてくれて良かったわ~」
母さんが嬉しそうにしているので良かったのだが、正直食べ過ぎたな…。
転校初日にこんな腹パンパンにしながら、登校する奴もそういないだろう。
「じゃあそろそろ行くわ」
「いってらっしゃい!」
そう言って、玄関の扉を開けると、丁度隣の家から「いってきます」という声が聞こえてきた。
声の正体は女の子だったのだが、俺と同じ学校の制服を着ているな。何年生なんだろう?
俺も行こうと歩きだした時、母さんが玄関先まで出てきた。
「頑張ってね~大地!」
めちゃくちゃ手を振ってくれているのだが、
恥ずかしいったらありゃしない。
少し前に歩いていた隣の家の女の子もフフフと笑っているのが伺えた。
反応しない訳にもいかないので、少し手を振り返してから俺は学校へと向かいだしたのだった。
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