トリ♪トリ♪
K.night
第1話 トリ♪トリ♪
「トリ♪トリ♪」
「…おはよう。」
なぜかは知らないが、弟のユウゴが朝から上機嫌だ。無視してケトルでお湯を沸かした。私は胃腸が弱いので、45℃に設定したお湯を朝は飲むようにしている。
ピーピーと音がしたので湯を注いでみれば、熱湯だった。ケトルとみると100℃に設定してある。こんなことをするのはユウゴしかいない。
「ユウゴ!」
「トリ♪トリ♪」
そういって、ユウゴは自分の部屋に入っていった。なんだあいつ、憑りつかれたのか。仕方なく水を足して飲んだ。
「いただきます。」
うちの朝ご飯はトーストが基本だ。休みの日は私が起きるのが遅いので、すでに用意してくれた。珍しくジャムが出たままだった。私は早速塗ろうとジャムを持つと蓋が甘くなっていて、ゴンッとジャムの瓶を落としてしまった。今日両親は朝からいない。こんなことをするのは・・・。
「ユウゴ!」
返事がないので部屋にノックもせずに入る。
「ユウゴ!あんたでしょう、ジャムの瓶ちゃんんと閉めなかったの!こぼしたじゃない。あんたが拭きなさいよ!」
「トリ♪トリ♪」
「だから朝からそれなんなのよ!」
「なんでこれがわからないかな。姉ちゃん、友達いないの?」
「はあ?うるさいわね、さっさと拭きなさい。」
無理やりユウゴを部屋から引っ張りだして、ジャムを拭かせる。何よ、確かに少ないけど、私にだって友達はいる!…まあ流行りには一部しか敏感じゃない友達だけれど。オタク友達だから。
何、最近なんか流行ってんの?改めてトーストにジャムを塗って食べている間に、私はTIKT0Kを見てみる。まあ、自分の趣向からお絵描きのしかでてこなけど。そうか、今日はハローウィンか。みんな推しキャラのハローウィンバージョンを書いていたりしていた。かわいい。今日は予定もないし、私も推しキャラのハローウィンバージョンでも書こう。今日の予定が決まって、私はうきうきとココアを作って自分の部屋に入った。
私はアナログ派だ。書いたものがスケッチブックに溜まっていくのを見るのが好きだから。と言ってもまあ、そんなうまくないが。
「できた!」
それでも絵を描くのは大好きだ。私は自分としては満足な下絵にほれぼれした。早速色を塗ろうとしたら、思ったのと違う色がついてびっくりした。よく見ると、コピックの蓋と中身が変わっている。
「ユーウーゴー!!!!」
激高した私はのんきにリビングでTVを見ていた弟の首根っこを掴む。
「あんただろ!あんたしかいないもんな!!コッピクの蓋を変えやがったな!」
「姉ちゃん、トリトリ!トリトリだってば!」
「何なんだ、朝からトリトリうるさいな!」
TVからトリックオアトリートという言葉が聞こえる。ハローウィン特集をしているようだ。
「まさか、トリトリって…。」
「そう!トリックオアトリートの略!あけましておめでとうが、あけおめなら、トリックオアトリートはトリトリでしょ!姉ちゃんがおかしをくれないからいけないんだ。昨日ポテチ買ったの俺は知ってるもん!」
「そんな略し方誰がするかー!!!」
トリあえずしばいた。
トリ♪トリ♪ K.night @hayashi-satoru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
作家と私/K.night
★9 エッセイ・ノンフィクション 連載中 13話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます