無音の雪道

SHIMA

プロローグ


 五感の割合、よくよく考えてみればアンバランスなものだ。

 一番使う五感は何かと問われれば、ほとんどの人が「視力」だと答えるだろう。

 視力は実に割合にして七、八割を占めている。


 あまった三割に残り四つが詰まっているのだから、視力以外が可哀想にも思える。

 とはいえ「百聞は一見にしかず」というほどに「見る」という行いの有無は凄まじい。


 だが、五感の優位性はご存じだろうか。


 視力の情報量は圧倒的でわかりづらいが、聴力の方が記憶に残りやすいそう。

 視力よりも聴力の方が処理される優先度、質は上なのだ。


 ところで雪の降る音、聞いたことある?

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