☆KAC20247☆ 彩の国

彩霞

第1話 彩の国

 むかし、むかし。

 そのまたむかしから、平原の真ん中に、いろどりの国という王国があった。


 彩の国は、その名のとおり、美しい色にあふれた国である。


 大きな空はやさしい青色、みずみずしい果物くだものは発色のいい黄色や赤色。街には沢山の木々が植えられ、緑色の葉が作る木陰は、誰もが好きな場所である。


 彩の国の建物は石造り。そのため、石の色によって違っており、白色もあれば、優しい茶色い色、また砂色もあったが、それぞれの周りの色と上手く調和し、人々の生活を引き立てていた。


 また、布を重ねた人々の衣服の色もいろどり豊かである。そして服の色には、ときに意味を示すこともあった。


 宝石のような深い青は、シャキッとしたいときの色。


 犬の尻尾しっぽに似た草のように乾いた黄色は、喜びたいときの色。


 雲の影のような灰色は、悲しみがあって一人でいたいときの色。


 淡紅色あわべにいろは、恋をしているときの色。


 熟したテチの実のような赤い色は、情熱に燃えているときの色。


 チュアという小鳥のようなやわらかい黄緑色は、のんびりしたいときの色。


 彩の国の住人は、色に関してはとっても詳しい者たちばかり。そのため彼らは色に意味を持たせながら、色と共に暮らしていた。


 しかし、彩の国といえど、の色にだけ問題を抱えていたのである。

 それは「文字」の色だった。

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