ダブル転生ーなんか転生したの、俺だけじゃないみたいですー
蒼く葵
プロローグ
表記設定で字の大きさを小にして書いています。
なので、出来れば右上にある表記設定の方で字の大きさを小にしてお読み頂けると
違和感なく読んで頂けると思います。
(勿論、そのままでも良いという方はやらなくても大丈夫です^^)
ご協力、よろしくお願いします。
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健斗視点。
大手不動産会社の代表取締役社長の父と超有名美人女優の母を持ち、
それが遺伝したのか文武両道、才色兼備を地で行く生まれながら勝ち組。
通っている高校では毎日と言っていいほど告白を受け、
将来はその鋭い才覚でもう既に父親の仕事を引き継ぐことが決定している。
と、そんな一見、何でも叶えられて夢を追うような生活とは
程遠く見えるような俺にも実は大きな夢があったりする。
その夢とは、異世界に転生して一から成り上がるというもの。
…………は?と思った方もいるだろう。
だが、俺は至って真面目。本気で心の底から異世界に転生したいと思っている。
理想は何もないド田舎で平凡な両親から生まれ、死ぬほど剣の修行をして、
そして、世界に俺という存在を知らしめたい。
無謀だと馬鹿にするならすればいい。
俺は誰に言われようと諦めるつもりはない。
3年前、下校中に見つけた一冊のマンガ。
今までそういうものと関わったことのなかった俺はその時、
初めて二次元というものに触れ、心を打たれた。
俺はもうこんな勝ちが決定した生ぬるい世界じゃ満足できない。
一から、何もないところから『最強』を創り上げる。
それをどうしてもやってみたい。
が、異世界転生なんて自分の力でどうにか出来るようなものじゃないし、
どれだけ知恵を回したところで異世界に行く方法なんて見つかるはずもない。
よって、俺は3年前から毎朝、ジョギングついでに近所の神社でお参りをしている。
他力本願は性に合わないがこれに関しては神様くらいしか縋れるものがない。
マンガでも異世界転生者の殆どが神様経由だし。
頼む、神様。毎月のお小遣い全部ここに落としてるんだし。
もう最近なんて神社のアップデートが終わって、
今度は段々と神主さんの方がオシャレになってきてるんだから。
『はぁ、仕方ないな。分かった』
「…………え?」
毎日の日課で賽銭箱の前で土下座していると、
何処からか、そんな声が聞こえてくる。
『お前を1人目の転生者に決定しよう』
転生者?それってまさか…………、
『強者ひしめく世界で最強の称号を手にするのは想像を絶する道となるだろう。
それでも本気で願うのならやってみせろ。私はいつでもお前達を見守っている』
◆◇◆◇
「おぎゃー、おぎゃー」
健斗の実家からすれば玄関よりも小さな木造建ての一室で産声が上がる。
「おい、アミリア!生まれたぞ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、良かったわ……」
興奮冷めやらぬと言った様子で喜びを露わにするガタイのいい男と
赤く火照った顔で嬉しそうに生まれたばかりの赤ん坊を抱き抱える女。
そして、その女の腕の中にいるのは綺麗な顔立ちをした黒髪の赤ん坊。
今産まれたばかりの彼の名はアレン。
生まれたばかりで精神年齢17歳という奇妙な赤ん坊。
「ばぶー」
(やっぱり最初は転生者だって隠すのが定石だよな)
こうして、鷹見健斗は勝ち組人生から一転、
希望通り、超ド田舎の貧乏家族の長男、アレンとして生を受けたのだった。
よし!俺はここで強くなって、一から成り上がってやる!!
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安人視点。
平凡な父と母を持ち、高校入学と同時に時代遅れのヤンキーに目をつけられ、
イジメを受けて不登校になった自他共に認める不幸者の負け組。
得意なことは特になく、趣味はアニメとゲームだけ。
親にも見放され、1年くらいまともに家を出ていない生粋の引きこもり。
と、そんな希望もへったくれもない人生を送っている俺だが、
一応、夢……と呼べるようなものがある。
その夢とは、異世界に転生して、悠々自適にのんびりと暮らすというもの。
まぁ、引きこもりのオタクが考えそうなよくある無謀な夢だ。
理想は金持ちの三男くらいに生まれ、こっちの知識で物とか売って、
荒稼ぎして、美女と余生をゆっくり過ごしたい。
鼻で笑ってくれて構わない。
俺だって別に本気で異世界に行けるとか思ってないし。
まぁ、やらないよりやる方が効果あるかもしれないので一応、
寝る前に一回だけ『神様、大好きです。異世界に転生させてください』
って、建前使ってお願いしてたりしてるが。
わざわざ貴重な時間やお金を割いてまでお願いしようとは思わない。
第一、神は不公平だ。
この間なんかで見たが、この世界には金持ちのパパと女優のママから生まれて、
しかも、自分もハイスペックっていうふざけた奴がいるらしい。
まず顔が良いってだけでそっちの道である程度食っていけるのに、
更にオヤジパワーで将来が保障されている。理不尽すぎだろ。
まぁ、俺もある意味では理不尽さで負けてないが。
…………あの日、俺はただ用を足したかっただけなんだ。
それなのに、隣にいたヤンキーに『何見てんだ』って言われてボッコボコですよ。
それからも事あるごとにいちゃもんつけられ、ボコられ、パシリにされ。
モヤシ教師に相談してもビビって何もしてくれず、
有り金も全部むしり取られ、違法なバイトさせられそうになって、挙句、不登校一直線。
…………なぁ、神様、これ俺が悪いですか?
こんなことがあっていいんでしょうか。
何もしてない人間が損をしてもいいんでしょうか。
なぁ、見てるんだろ。見てるならなんか言えよ。俺の人生変えてくれよ。
『あぁあぁ、あぁあぁ、分かった、分かった』
「…………え?」
寝る前の日課で神に愚痴をぶつけていると、
何処からか、そんな声が聞こえてくる。
『お前を2人目の転生者に決定しよう』
転生者?それって、もしかしなくても…………、
『貴族として生まれれば問題はついてまわる。その世界でのんびり暮らすというのは
想像を絶する道となるだろう。それでも本気で願うのならやってみせろ。
私はいつでもお前達を見守っている』
◆◇◆◇
「……………………………。」
安人の人生では見たこともないような豪華な一室で赤ん坊が取り上げられる。
「奥様、生まれました。可愛い男の子です」
「あら、ホント可愛い……子?ね。えぇ」
「なんか捻くれた顔をしているな。しかも、全然泣かないぞ?」
生まれた赤ん坊の顔を見て何とも言えない表情を浮かべる女と
女の気持ちを代弁するようにはっきりそう言って眉を顰める男。
そして、その視線が集まるのはむすーっとした顔の金髪の赤ん坊。
今産まれたばかりの彼の名はウィルミス・フォン・シュタイン。
生まれたばかりで精神年齢17歳という奇妙な赤ん坊。
「はぁ」
(見なくても分かる。どうやら俺の顔は失敗したようだ)
こうして下沢安人は負け組人生から一転(?)、
希望通り、公爵家の三男、ウィルとして生を受けたのだった。
よし。俺はここでなんか色々、物作ったりして荒稼ぎしてのんびり過ごそう。
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