ハローワークで見つけた冒険者業が天職だった件〜ハズレ職業である武闘家から始まった冒険者人生、最上位職のマジックブレイカーに転職したので駆け上がっていきます〜
第35話 浦岡、テメェはそこでくたばってろ
第35話 浦岡、テメェはそこでくたばってろ
ユニーク職業――
もしかしてマジックブレイカーのことか?
「この冒険者界隈では剣士、武闘家、魔法剣士、魔導士、召喚士の5職業を基本としている。しかし時折、それ以外の職業が現れることがあるらしい 」
違うな〜俺、武闘家なんだよな〜、ハズレって言われたんだよな〜。
ただこのレベルで上位職へ昇格ってのはレアなだけで。
「じゃあ俺、武闘家だから違うわ 」
ユニーク職業という言葉に気分が上がっていた分、違うことが分かって少し冷たい返事になってしまった。
「ま、まぁ嘘は言ってなさそうだな 」
「それよりお前らの目的、言う気ないのか? それなら倒した後に聞くことになるけど 」
「ない。時間稼ぎだと言っただろ 」
あいつ、さっきからずっと時間稼ぎだと言い張っている。
「ならお前を倒した後に吐いてもらうぞ 」
「冒険者始めたてのお前に冒険者を傷つけられるのか? こんな風に 」
浦岡はクイッと人差し指を上に向けた。
すると、再び岩の刃が地面から突き刺してくる。
それも今度は数が多い!
「ヒナ! 危ないっ!! 」
さらにその矛先は俺ではなく……。
「ヨウスケくんっ!! 」
彼は彼女を守るため、彼女の前に立ち現れた。
そして迫る岩の刃。
このままではヨウスケごと貫いてしまうっ!
「【 魔力吸収⠀】!! 」
間に合うかっ!?
グサッ――
「グッ……! 」
「間に合わなかったか…… 」
「い、痛ってぇ!! けど、助かった 」
どうやら岩の先端部分が軽く刺さっただけで血は流れ出しているも致命傷は避けたようだ。
「よ、よかったぁ 」
ふぅー、一安心だ。
「戸波さん……ありがとうございますっ!! あなたがいなければ僕は串刺しにされていました! 」
ヨウスケは刺された部位から血を少し垂らしながらも、深々とお辞儀をしてきた。
「いや、そんなのいいって 」
「戸波さん、私からもお礼を言わせて下さい! 」
ヨウスケに続き、ヒナまで頭を下げてくる。
「いやいや、まだ戦いは終わってないんだから 」
「そいつの言う通りだ 」
浦岡はそう言って、右手の人差し指を左へ向ける。
ゴゴッ――
次は円筒型の岩が右の壁から押し寄せてきた。
「剣技【 妖刀炎舞⠀】!! 」
ザシュッ――
ザシュッ――
俺が【⠀魔力吸収 】を行う間もなく、ヨウスケが迫る岩を斬り刻んでいく。
「もう僕達は心配ないです! 戸波さんは浦岡を! ここではあなたしかアイツを倒せません! 」
そうだ! 俺は一刻も早く浦岡を倒し、紗夜さんの元へ行かなければならない。
こんなところで足止めを食らっている暇はないのだ。
「わかった! ありがとう!! 」
「お礼を言うのはこちらですよ! 」
ヨウスケとそう言葉を交わしたあと、俺は浦岡に詰め寄っていった。
ヤツとの距離約数メートル――
「ちっ! 土上級魔法【
浦岡の頑丈に加工した岩の右腕によるラリアット。
届く範囲だと判断してか物理攻撃に切り替えてきた。
さすがB級冒険者。
いくら魔法ステータスに偏っていると言えども、E級ダンジョンに出てくるモンスターよりも素早く力強い動きだ。
しかし問題ないっ!
(専用パッシブスキル【 自動反撃 】を発動します )
よしきた、ステータス様。
浦岡のラリアットを最も効率よくスレスレで避ける。
しかしまぁこれくらいならパッシブなしでも避けられる程度の速度だったな。
「まだだっ!! 」
浦岡は左拳にも土魔法で加工しており、渾身のストレートを放ってきた。
今の短時間で魔法を発動したのか。
(専用パッシブスキル【 自動反撃 】を発動します )
またも容易に避け、
「【 正拳突き⠀】!! 」
一撃を顔にぶつける。
「ウッ――! 」
浦岡は大きく後方へ吹き飛ばされた。
けど今の一撃、あんまり手応えがなかった気が……。
その予感は当たっており、ヤツはすぐさまその場から立ち上がった。
そして殴ったはずの右頬がなにやら厚い岩の膜みたいなもので覆われている。
アレが今の攻撃を防いだのか。
しかし今の【 正拳突き⠀】がよほど堪えたようで、ヤツが立ち上がった途端にその膜は崩れ去っていった。
「魔法が効かないのがここまで厄介とは 」
「悪いが、これ以上時間稼ぎには付き合えない。さっさとお前を倒して紗夜さんのところに向かう 」
「あぁ、俺もこれ以上時間を稼げるなんて思っていないさ 」
浦岡からはさっきほどの余裕を感じられず、どこか切迫したような様子を見せている。
殺すつもりはない。
しかし紗夜さんを助ける邪魔をされては困る。
なのでここで倒し、拘束しておくのが良いだろう。
そのために倒すのだ。
「【⠀炎帝の拳 】」
これはマジックブレイカー専用の攻撃スキル。
【 魔力吸収⠀】によって得た魔力を炎エネルギーに変換し、拳に宿すことができる。
つまり【 アークスマッシュ⠀】の炎バージョンだ。
といっても属性エネルギーというものは単なる魔力の塊に比べて威力は増大されるらしい。
俺は再び浦岡との距離を詰めた。
「くっ! 土上級魔法【 アースウォール⠀】」
しかし浦岡は咄嗟に土の壁を何重にも創り出す。
バキッ――
バキッ――
バキッ――
その土の壁は見るも無惨に壊れていった。
専用攻撃スキル【 炎帝の拳⠀】によって。
「くっそ……。だめか…… 」
「浦岡、テメェはそこでくたばってろ! 」
ドスッ――
そんな壁ではこのスキルの威力は微塵も収まらず、そのままヤツの胸部に直撃。
浦岡は俺が拳を振り抜いた方へぶっ飛ばされて、遺跡の壁に激突し、その場へ倒れ込んだ。
「よし、あいつ気失ってるな 」
なぜ分かるか?
これ非常に便利なのだが、【 鑑定眼⠀】で視た名前の欄に《気絶》と記載があったからだ。
今知ったことだけど、これはありがたい。
「「戸波さ〜ん!! 」」
俺に寄ってきたのは、ヨウスケとヒナ。
「2人とも無事でよかった、本当に 」
「そんな心配してくれてありがとうございます!! 」
「ほんと戸波さんのおかげだよ! 」
「いやいや、結婚とかそんな話聞かされた後に目の前で死なれたら気分悪いしさ 」
「どんな理由であれ、俺達は戸波さんに感謝しています! いずれ恩返しさせて下さい! 」
2人は俺にそう言って頭を下げた。
「本当にいいってそんなの! それよりも紗夜さんを助けに行かないと!! 今から戻るのも時間かかるし……うーん、どうしたものか…… 」
「戸波さん、最速で向かう方法がありますよ 」
そう提案してくれたのは、ヒナだった。
「ヒナさん! それって? 」
彼女は壁に指を差して、
「魔力感知したところ、紗夜さんはこの先にいると思われます! 」
ヒナいわく、この壁の先に進むのがベストらしい。
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