第19話 マジックブレイカーって楽しいね
異空間を通った先に広がる景色、それは少し薄暗い遺跡のような場所だった。
しかし中はしっかり整備されていますと言わんばかりに綺麗なキューブ状となっている。
天井もまぁまぁ高く、広さだって20畳から30畳くらいあるんじゃないだろうか。
そして先へ続く通路がひとつ。
あ、そうだ!
モンスターがいないうちにステータス確認するか。
「ステータス! 」
名前 戸波 海成
階級 E級冒険者
職業 マジックブレイカー
レベル 40
HP 490/490
MP 49/49
攻撃力 84
防御力 84
速度 84
魔攻 49
魔坊 49
マナポイント 157
▼ 通常パッシブスキル(残りポイント1670)
【 身体強化 Lv 7 】 【 隠蔽 Lv 10 】
専用パッシブスキル
【 不屈の闘志 】 【 自動反撃 】【 鑑定眼 Lv 1 】
【 魔力吸収 】 【 貯蔵 Lv 1 】
通常攻撃スキル
【 正拳突き 】
専用攻撃スキル
【 アークスマッシュ 】【 疾風烈波 】
貯蔵スキル
【 咆哮 】
いやー増えたね。
なんかマジックブレイカーに転職して、スキル欄も大きく変わったし。
しかし上位職のことを隠すとなると、紗夜さん含めた同僚の前じゃほとんどが使えないよな。
まぁだから通常の【 正拳突き 】を覚えたんだが。
本部の人に鑑定されたらマズイと思ってたけど、なぜか転職した時に【 隠蔽 Lv 10 】を獲得していた。
そしてそれによって俺の職業は【 鑑定 】を行ったとしてもスキルLv 10ではない限り武闘家に視えるように設定し、覚えたスキルもほとんど隠してある。
さらにはレベルまで偽れるらしく、一応30以下になるように調整した。
これはニューロヴォアから身を守るためである。
高レベルだと喰べられるってアイリーンが言ってたし。
このスキルは転職したから覚えたのか、それともあのレベルラビットの贈り物とやらに同封されていたのか。
未だに疑問点が多すぎる。
瑠璃に確認したいと思ってたけど、最近はずっと紗夜さんと一緒で彼女と会う暇がなかった。
スタスタスタッ――
「……!? 誰か来る? 」
この先の通路から足音が聞こえてくる。
聞く感じ1体、2体……まぁそんなに数はいなさそうだ。
それに二足歩行っぽいし、人型かな?
そしてそいつは姿を現した。
「あれは…… 」
ゴブリン L v 10 HP 220/220 MP 10/10
《スキル》
なし
「よし、ゴブリンが3体ってところか。 あれならいけるっ! 」
本当にこの眼は助かる。
【 鑑定眼 Lv 1 】 にスキルが進化したことで、敵の情報をより正確に視ることができるようになった。
ただ一つ問題という問題ではないが、このスキルのレベルを上げるのに2000スキルポイントが必要なんだよな。
今のままで便利だからこそ大きな問題ではないんだが。
ただ、そんな多大なスキルポイントを消費するのだ。
一体どんな費用対効果があるかには興味がある。
「ア――ッ!! 」
そんな中、甲高い奇声を上げながらゴブリンは3体同時に攻めてきた。
そして中でもわずかに速度が速い1体のゴブリンが俺の目の前まで到達し、持っている棍棒を振り下ろしてくる。
「うん、やっぱり遅いな 」
問題なく避けることができる速度。
そして俺のスキル自身がそれを攻撃と判断した。
つまりこの時に専用パッシブスキル【 自動反撃 】が発動するのである。
俺の身体はその棍棒をあえてギリギリで避けて、最短で間合いを詰めた。
これは相手に攻撃をするため最も効率的な動きをスキルが教えてくれるのだ。
なんというか、反射的に動いている感覚に近い。
あまりに迅速な動きだからかゴブリンの懐に俺の拳をぶち込む瞬間、まだ棍棒を振り下ろし終えていなかった。
ドスッ――
その鈍い打撃音を響かせるとすぐ、ゴブリンはポリゴン状となって消えていく。
それからまもなく残りのゴブリンも攻めてきた。
仲間がやられたからか、ヤツらの顔から焦りのようなものを感じる。
「「ア――ッ!!! 」」
残りの2体にも変わらず、攻撃を避けてぶっ飛ばすというカウンター方式で倒し切った。
「よっしゃ――っ! やっぱり能力を隠さず戦うのは気持ちいいなぁ!! このまま気を抜かずに先に進むぜ 」
そう、俺はいつも紗夜さんに「ダンジョンでは気を抜いちゃダメだよっ! 」と注意されているのだ。
それともう一つ紗夜さんに言われていること。
それはアイテム回収を怠らない。
初めてダンジョンに行ったときにも気づいてはいた。
モンスターを倒した位置に、そいつと同じ色をした正立方体の物質が転がっていることを。
いや、でも爆弾かもしれないじゃん?
毒かもしれないし。
何も知らないより怖いことはない。
故にガン無視をかましていたのだ。
この2週間で教えてもらったが、それに触れれば自分のステータス画面から開けるインベントリへとアイテムは収納される。
どうやらそのアイテム、本部で売れたり武器を作ったりできるらしいがまだやったことはない。
そのうちやってみたいものだ。
「ま、アイテム拾って先行くか 」
俺はさっきのモンスターが消えた位置へ向かい、そいつが落としたのであろうアイテムに触れた。
パリンッ――
もうだいぶ見慣れたがこうやってアイテムに触れると、モンスター同様にポリゴン状となり散っていくのだ。。
そして俺は道を進んでいった。
◇
目の前には豪華な両開きの扉。
ずいぶん奥まで来たな。
つーことでゴブリンを倒すのも飽きてきたし、この奥がボス部屋であってほしい。
俺がその扉に近づくと、
キィ――――ッ
扉らしい音を奏でて自動で開かれていく。
冒険者を感知しているのか、ダンジョンの扉には時折自動で開くものがある。
ダンジョン七不思議なんてものがあるのなら、そこに殿堂入りするほどの謎だ。
いや……7つじゃ絶対に済まんけどな。
とりあえず進もう。
俺の両足がちょうど扉を過ぎてすぐ、
バタンッ――
「え……。ここ閉まるのも自動ですか? 」
そんなの聞いてない……いや攻略中、紗夜さんが言ってた気がする。
「そーゆー扉もあるから気をつけてね 」って。
油断してました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます