第13話 初のボス戦です
コボルトとかいう犬のモンスター、こちらへ向かってくるが、さっき見た時ほどの速さは感じられない。
自分のステータスが上がったことと何か関係があるのだろうか。
「ガ――ッ! 」
モンスターは鳴き声と共に襲ってくる。
ドンッ――
気づけばコボルトは数メートルぶっ飛び、壁にぶつかった直後、ポリゴン状となって消えていった。
レベルラビットの時もそうだったが、どうもそれがこのダンジョン内で消滅する時のルールらしい。
なぜコボルトが壁まで吹っ飛んだか、反射的にぶん殴ってしまった。なんだか暴力的な言い方になってしまったが、咄嗟の判断で身体が勝手に動いたのだった。
しかしこれで分かった。
俺はここのモンスターと渡り合えるらしい。しかも圧倒的にだ。
さらに言えば恐怖も感じない。
おそらく昨日おじさんと戦った時のように【 不屈の闘志 】っていうパッシブスキルが発動しているのだろう。
そういえば、どういうスキルなんだろう?
「ステータス、【 不屈の闘志 】の説明をして 」
(かしこまりました )
パッシブスキル
【 不屈の闘志 】
困難な状況や強力な敵に直面しても決して挫けず、常に戦い続けることができる。このスキルは物理的な疲労や精神的な負荷によってもたらされる弱点を克服できるが、ステータス上勝つ可能性が低いと判断した場合はその効力が薄れるという特徴がある。
なるほど、だからあのおじさんの時は恐怖心が消えたんだな。
だけどさっき犬の大群が襲ってきた時はシンプルに怖かった。
つまりあの時のステータスでは本能的に勝てないと判断したのだろう。
まぁなんにせよ、今の俺はE級ダンジョンでも通用することが分かった。
このまま突き進んでやるぜ――っ!
◇
……とか思って奥っぽいとこまで来たけど、ここのボスであろうあれに、俺勝てるかちょっと不安だわ。
《コボルトロード Lv29》
そう表記がある。
見た目や名前においても分かる通り、あのコボルトとかいうモンスターの親玉だ。
しかも普通のコボルトに比べて大きいのはもちろん当たり前、俺の身体より一回り以上大きく、ガタイも良い。
そしてなぜか子分たちは持っていなかった剣らしきものも持ってる。
「おいおい、ボスだけ剣ってズルいですな 」
「ガ――――――――――ッ!!! 」
俺の言葉が通じたのか、ボス部屋にくるまでに出会ったコボルトをタコ殴りにしたことに対しての怒りか、今のヤツの咆哮からは何かしらの憤りみたいなものが伝わってきた。
そしてそのままこっちに突っ込んでくる。
あのでかい巨体が走ってくる様は恐ろしいものだ。
ザシュッ――
俺の目の前にくるなり大きな剣を振りかざしてきたが、俺が避けたために、それは地に勢いよくぶっ刺さった。
「うおっ! 危ねぇな―!! 」
俺はここまでコボルトにくらわせてきたのと同じように一撃フルスイングで腹部辺りをぶん殴った。これで攻撃スキルみたいなのあったらカッコイイんだけどな。
「ガルルルルルッ――」
わずかに後方へ飛ばされたが、姿勢は全く崩れていない。
もしかして衝撃が抑えられたのも、あの全身に纏っている鎧があるからだろうか。
「ガウウウッ!! 」
ザシュッ――
剣を振りかざしてきたのも2度目、次は余裕を持って避けることができた。
そして次は顔に一発っ!!
「ガフッ!! 」
よしよし、ダメージ喰らってる。
もしかしてゲームと同じように行動パターンって同じじゃないのか?
そうだとしたら何度もこれを繰り返せば勝てるっ!
ザシュッ――
よし、やっぱり。これでもう一発顔に……!?
マジかよ、こいつ地に刺さった剣を離しやがった!
そして手ぶらになったその大きな手を振りかぶってくる。
「ぐっ! 」
ドンッ――
痛ぇ、ただの平手打ちで壁まで吹っ飛ばされるとは。
しかし普通であれば骨でも折れているというもの。
これもステータスとやらの効果なのだろうか。
だがやはり痛いものは痛いな。
そしてダメージを喰らったからか、視界上にHPバーが視えるようになった。
HP 208/350
ありゃ結構減っちゃったじゃない……。
てことは、これ以上攻撃を受けるわけにいかないようだ。
さっきは完全に俺が油断していた。
同じ攻撃しか来ないという安易な考えで行動していたからだ。
そうだ、これはゲームではない。
このモンスター達もただのエフェクトではなく生き物なのだ。
憤りの感情が伝わってきたように、何かを想い、必死に生きている。
大丈夫だ、動き自体は見えている。
避けれないほどじゃないし、確実にできる攻撃だけを繰り出していこう。
実際それからは圧倒的有利に攻撃を繰り返し、ついにやつの鎧を破壊することができた。
あれからHPだって減っていない。
「よし、あとはその無防備な身体に一撃加えてやるぜ! 」
少し気の緩みが出た瞬間。
「ガ――――――――ッ!!」
さっきより迫力のある叫び声。
しかも今回は憤りのような怒りの感情ではない、必死に生きようとしている、生にしがみついているような……そんな強い感情だ。
そして俺が通ってきた通路、なんだか騒がしいな。
「「「ガウガウッ! 」」」
この強そうじゃない鳴き声、聞き覚えがあるぞ。
数十体ものコボルト部隊。つまるところ援軍である。
ここまで来て……勝てる兆しが見えてからのこれかよ。
HPも残り2/3程度、さてどうしようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます