第10話 ステータス上げは気分も上がる
「あれ、俺はどうなった……? 」
おそらく今俺はダンジョンにあった魔法陣に飛び乗ったはず。
運が良いのか悪いのか、さっきと違う空間にいるみたいだ。
根本は同じ、いやに明るい洞窟のような場所。
俺が今さっきまでいた場所はずっと続く一本道だった。
しかしここはどうだ、ただ広いというには表せないほどの広さ、甲子園球場なのかも思うほどに。
どちらかというと、俺が初めにレベルラビットを捕まえたあの擬似的なダンジョンに近いような。
「そうそう、あの時はこんな感じにレベルラビットが寄ってきて……ってあれ、これデジャブ!? 」
「フンッ! フンッ! 」
この鼻を鳴らすような音めちゃくちゃ聞き覚えがある。
そして下を向いてみるとそのウサギはあの時のようにしっぽを振ってこちらを見上げていた。
一つ違う点で言えば、大きさ。少し前に捕まえたのはよくいう一般サイズくらいだったが、今回はそれの何回りも大きい。これでは最早ウサギではなくゴールデンレトリバーである。
なんでこんなところにレベルラビットが? たしかレベルラビットは激レアだからもう出会えないだろうって……。
「だ、抱っこしてほしいのか……? 」
「フンッ! フンッ! 」
ウサギ語は分からないが、なんとなく嬉しそうな表情をしている……気がする。
そう思い、抱き抱えた瞬間、この大きなレベルラビットはまたもポリゴン状となって空に消えていった。
ここまで擬似ダンジョンの光景と被るなんて。
そして自動的にウインドウ画面が開いた。
《レベルアップしました》
《レベルアップしました》
《レベルアップしました》
この文言が大量に画面上の下から上へ、通知が流れ出ては消えを繰り返している。初めのレベルラビットの時はレベルなんて上がらなかったぞ?
そして大量のレベルアップ報告が止むと、
《マナポイントを獲得しました》
《スキルポイントを獲得しました》
《ネクサリウス型レベルラビットからの贈り物を入手しました》
このよく分からない文言を最後に通知が止んだ。
「ステータス 」
名前 戸波 海成
階級 E級冒険者
職業 武闘家
レベル 35
HP 440/440
MP 44/44
攻撃力 79
防御力 79
速度 79
魔攻 44
魔坊 44
マナポイント 142
▼スキル(残りポイント3540)
【 不屈の闘志 】
うお――――っ!
めっちゃ上がってるじゃ〜ん。やっぱり男としてはこういうのめっちゃテンション上がる。
だがしかし、まだポイントの使い方が分からない。
でもこのステータス、巷で流行っている音声認識できるAIみたいだよな。ものは試しだ。
「ステータス、武闘家って何? 」
(はい、武闘家の詳細をただいま記します )
武闘家とは
武術を用いて戦う戦士のこと。武道や格闘技などの戦闘技術に秀でており、攻撃力が高いほどダメージを与えることができる。レベルアップによるステータスアップに関して、攻撃、防御、速度が上がりやすくなる。
おおっ! 分かりやすい。
そして次に俺が知りたいのは……。
「ステータス、覚えられるスキルを教えて 」
すると、ウインドウの表示画面が切り替わって、
《習得可能なパッシブスキル》
【 身体強化 Lv 1 】
【 鑑定 Lv 1 】
【 隠蔽 Lv 1 】
【 拳の加護 Lv1 】
えっと、スキルの名前だけでなんとなく分かる気もするが、それだけで習得してみるのも怖いよな。そりゃ全部便利なものなんだろうけどスキルポイントとやらも限りがある。慎重に選ばねば。
「ステータス、スキルの説明を頼む 」
さすが、AI……かは知らないがすぐに記してくれた。
【 身体強化 Lv 1 】
冒険者の身体能力を向上させる。Lv 1につき、攻撃、防御、速度のみ10ずつステータスポイントが上昇。
【 鑑定 Lv 1 】
冒険者は身の回りのアイテムやモンスターや冒険者の情報をを認識する。鑑定対象が【 隠蔽 】を習得している場合、その隠蔽Lvより自身の鑑定Lvが高い時のみ情報を得ることができる。
【 隠蔽 Lv 1 】
冒険者が鑑定対象となった場合、それを隠すことができる。しかし相手の鑑定Lvが自身の隠蔽Lvを上回ってる場合、このスキル効果は無効となる。
自身の隠蔽Lvが上回った場合、偽りのステータス表示を記すことができる。
【 拳の加護 Lv1 】
武闘家専用パッシブ。拳装備をつけた場合、自分の攻撃力ステータスが1.25倍になる。
よく分かる説明だ。しかし鑑定と隠蔽は対になっているようだが、そんな冒険者同士で腹の探り合いみたいなことしたくないんだけど。
とりあえず敵の情報は知って損はないし、【 鑑定 Lv 1 】は習得するとして、武闘家専用に関しては……まぁ武器持ってないし、一旦パスで。
そして残りは、【 身体強化 】ってところだな。
「よし、決めたっ! ステータス…… 」
俺はワクワクしながらスキル強化を行っていった。
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