第23話 熱帯の氷

「今」ってずるい。

 今ってどんどん熱帯の氷みたいに、すぐに溶けていっちゃうから。

 私の中に。

「過去」にならないで、未来も見えないのに。

 だけど積み重なればそれは体重よりも重たくなって。

 輪郭を這って登ってきては、いつの間にか私を支えている。

 針金のような現在。

 形を変えて今も支えられている。

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