0430「レスト―夫人」(三島芳治先生)

 Kindleの底のほうに埋もれてしまっていた一冊完結の漫画を発掘してきた。三島先生の作品は、衒学始終相談や児玉まりあ文学集成、ヴァレンタイン会議 三島芳治選集、ガールズレコグニション 三島芳治選集、ですでに読んでいた。最初のはいりは、児玉まりあ文学集成という比較的しられているものから入ったと記憶している。


 そこから、作者さんのTwitterもフォローして、その日常と文学が融合したような不可思議な日記のような何かを日々、摂取しているという次第。


 本作品もとても楽しみにしている。ということで、読み進めていく。(今日は一日空いているので、読書に耽る一日にする。)


 オセロというゲームには逸話があるらしい。少しだけ調べてみようかしら。


 なにやら、オセロが生まれた地は水戸、という検索結果が出てきたのだけれど。本当なのかな。よくある、私のところが一番最初だったんだということで、元祖だとか、そういう類の主張とかなのかな、とも思ったりする。


 ホームページを読んでいくと、「オセロー」というシェイクスピアの四大悲劇の一つが元ネタになっているらしく、黒白が頻繁に裏返っていくオセロゲームの様は、その作品中での敵味方が寝返りまくるという状況に重ねているらしい。緑の盤面は戯曲の戦いの舞台の緑の平原をモチーフにしているとか、なんとか。


 へー。なんだか、オセロの歴史ってもっと古くて、イギリスとかヨーロッパ圏で生まれたゲームなんだと思ってた。意外。ちなみに黒がオセローで、白がオセローの妻、デスデモーナだという。ちなみに妻のほうは、黒人の夫に殺されてしまうらしい。なんだか、壮絶なストーリーだな。今度、読んでみようかしら。


 お話を読み進めていく。


 情操教育というものが出てきた。本作品のなかにいる、志野さんという、非現実的、幻想のなかにいる美少女、的な女の子がいるんだけれど、その彼女の雰囲気というか存在が形成されていた、彼女なりの分析というところのシーンがかなりいい。凝っている。


 物語の主人公を自分の名前にすることで、現実と物語の融合が発生する。なにやら、そこには日々の三島先生の日常と文学の融合といったような実験的な記録の派生のようなものを感じる。派生かどうかわかんないけれども、それに近いもの。同類の雰囲気を感じる。


 

 第二話に入ったのだけれど。最後は偶数歩で門に入るというセリフがあって。かなりストイックというか、意志の格率のなかに生きている少女だなという印象。でもさすがに歩いている途中に歩数を数えていることはないと思うので、左足で門という境界を踏んでいるところを見ると、右足で家の境界を跨いだということだろう。右が奇数歩、左が偶数歩という風に必ず定まる。なんだか、このようなことを考えて、しかも規則として生活をしている人が本当にいたら、それはとてもすごくて恐ろしいことだなと感じた。


 志野さんが、小さい頃に、遠くのとても不思議な国にいったころがあると言っているのは、おそらく物語のなかという意味で、不思議の国のアリスというところではないだろうか。わたしも小さなときに読んでもらった記憶があるのだが、人形劇にも行ったことがあると思うのだが、どのようなお話であったか、当時の幼い私の頭の記憶では少しも記憶されていないらしい。なにやら、大きな気持ち悪い猫が、アリスのことをじっと見つめている描写はかろうじて覚えているんだけど。。。


 第二話はなんだか、とても不思議な感覚でほんわかとする終わり方だった。そんななかで大谷さんのゲッツー情報が流れてきて複雑な気持ち。大谷さん頑張れ。応援してる。


 無口なキャラを腹話術でしゃべらせて、会話を自作自演で成立させているという不可思議なお話だったけれど、なんだか最後のほうに、二人が融合していく不思議な感覚があって。なんだか三島先生のこの作品には、融合というテーマがあるように感じなくもない。どうなんだろう。主体性の問い、とか。言葉というもののもつ役割とか。そういったものの、抽象的な部分を物語にうまく落とし込んでいるような気がする。どうなんだろう。


 役を演じて、終わればまた元の役に戻る。という言葉からはやはりシェイクスピア的なものを感じる。たしかシェイクスピアは、人生という舞台でただ役を演じ切るだけ、みたいなことを言っていたと思うので、その延長にある言葉なのではないか。レスト―夫人という物語があるのかどうかは、調べてもすぐには出てこなかったので、わからないが、オセローというシェイクスピアの作品は作中に出てきたので、なんやらの意図的な演出の可能性はある。と思う。


 

 とまぁ、このような形で終わることにする。現実と物語の融合というテーマには、役を演じるという行為、思想があって。それを繰り返していくだけの、場所、要するに様々なる人生がそこには集まってくるという、なにかのメタファーとなる学校といいう舞台であったように思う。


 おわり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る