第218話 ラブラブナイト

「……で?コレは何ですか?」

「なんだと思う?」


私達が飲んだポーションとは別の瓶。

ご丁寧に2本用意されていて、瓶の色も濃いので中の液体がよく見えない。


「魔力回復薬とかですかね?でも、《神威纏》となんの関係が…」

「ヒントはお祝い用って事。中々洒落と皮肉の効いたプレゼントだと思うよ」


ちゃんとした考察をするかずちゃん。

魔力回復薬か…あったら巨竜戦で使えるかもね?

…まあ、神威纏がある以上あんまり意味ないけど。


「プレゼント?……最上級ポーションですか?でも、洒落と皮肉って…」


頭を捻って唸るかずちゃん。

まあ、そう簡単にわかってもらっては困る。

…早く使いたいし、早速答え合わせするか。


「正解は…飲んだらわかるよ」

「え?むぐっ!?」


私は瓶の蓋を開けて強引に口の中に突っ込む。

頭をつかんで上を迎えせると強引に液体を飲ませる。


すると、予想以上に速攻で効果が出始めた。


「はぁ…はぁ…」


顔を赤くして、全身を震わせながら私を見つめるかずちゃん。

私もそれ見て軽く頬を染めると、躊躇いなく液体を一気飲みした。


その直後、どんな濃度の高い酒を飲んだ時よりも遥かに高い温度で身体の中が熱くなるのを感じ、異様な発汗が起こる。

それはかずちゃんも同じで、別に熱くもないのに汗を沢山流している。


「これ…媚薬ですか…!」

「そうだよ……私達が使ってる香水の…10倍濃度が高いやつ…」

「はあ!?あの邪神何考えて……!」


私達が飲んだもの。

それは高濃度の媚薬であり、飲んですぐにこれ程効果が出るイカレ劇薬だ。


「速攻でこんなに…そっち系のマンガみたいな媚薬じゃん…」

「安心して…即効性だけじゃなく…ゆっくり私達の理性を破壊する…これより強い効果もあるから…」

「バカ。バカバカバカ…!」


鼻息を荒くし、お互い距離を取って話す私達。

距離が近いと、今にも襲っちゃいそうだから。

なんとか理性を保つためにも、距離を保っているけれど…駄目だ…思考がピンク一色に上塗りされる。


「もう…むり…神林さん…脱いで」

「言われなくても脱ぐよ…かずちゃんは…言うまでも無いか…」


お互い耐えられなくなって服を脱ぐ私達。

あっという間に一糸まとわぬ全裸になると…目があった瞬間飛びかかった。


こんなに興奮しながら行為に及んだのはいつぶりだろう?

…多分、初夜以来だね。

あの時は私もかずちゃんも無知で、ただそれまでの積み重ねで積もった性欲と、過剰に振りまき過ぎた香水の力でただただ愛し合ってた。


それから節度と言うものを弁え、香水の使い方も学び、夜の営みのルールも出来た。

……まあ、興奮すると人目がなく音が漏れにくい場所なら何処でもヤるようになったんだけどさ?


「はぁ……はぁ……」

「かずちゃん?聞こえてる?……駄目か」


なんとか理性が残っている私は、私のことを血走った目で見つめ、魔力まで使って私のことを押し倒し、乱暴に指を使うかずちゃんに話しかけるが…私の声は届かない。

まあ、当然と言えば当然。

私も、《鋼の心》のスキルが無ければ暴走した性欲に振り回されてた。


「こういう時に自制できる辺り、《鋼の心》もなんだかんだ強いよね。…聞こえてないか」


喰らいつくように私の唇を奪い、舌をねじ込んでくるかずちゃん。

ほんと、媚薬の効果は凄いなぁ。

状態異常無効があってコレか…


……うん?


「止まってくれないと今日はこのまま寝るよ?」

「………ちぇっ…せっかく良いところだったのに」

「やーっぱりまだ理性が残ってたか。…とは言っても、だいぶ苦しそうだけど」


かずちゃんの持つ状態異常無効は媚薬を防ぎ切れないらしい。

しかし、ギリギリ理性を保てるくらいには効いているみたいだ。


「このスケベ娘が…」

「媚薬ですよ?媚薬。お互い理性なんか忘れて、獣みたいに愛し合いましょうよ」

「どっちかと言うと食い合ってるけどね。どうしてそんなにはしたない子になったのかな?かずちゃんは」

「……とは言いつつ、私のナカを掻き回す手を止めなかったり、自分から体をよじって私に触ってほしい場所をひけらかす神林さんはなんですか?」


いつものどちらがえっちか論争が始まる。

お互い顔赤くして、鼻息荒く相手の身体を弄くり回してるのに、どっちがなんで無いんだけど…

それでも、甲乙付けたいのが私達。


それに……


「ド変態女」

「マセガキ」

「発情女」

「淫乱娘」


こうやって言い合っていると、相手を罵倒することで自分が優位に立っていると思える快感と、相手に耳元で責められて脳が揺れる快感を感じる。

普段の3倍気持ちよくなるから絶対にやめない。

…まあ、それが積もって喧嘩になって、夜が明ける頃には全身にアザが出来てるんだよね。


「んんっ…!……ちょっと休憩」

「もうですか?まあいいですけど」


ちょっといきなり飛ばしすぎた事もあり、かずちゃんよりも敏感になって来た。

一旦休んで調子を戻さないと…


「……別に、一方的に弄んでくれても良いんですよ?」

「でも今は一緒に触れ合う時間だからね……にしてもあの媚薬の効果は凄いね。流石は特別製」

「まだ1分ちょっとしか触ってないのにこれですからね…ほら」

「そんな見せるものでもないでしょ……私以外に見せたら承知しないから」

「見せませんよ恥ずかしい。こんなの見せるのは神林さんだけですからね」

「ふふふ」

「えへへ」


素っ裸で抱き合って惚気る私達。

程よく湿った秘部を見せてくるかずちゃんはすごくエッチで、すごくはしたない。

全く…何処で教育を間違えたんだか…


「私は別に誰かの教育でこうなった訳じゃないんですよ?自分でこうなりたいって願ったんですから」

「…強いて言うなら、私?」

「まあ、神林さんに振り向いてほしくてこうなったんです。神林さんの影響は受けてますね」


私に振り向いてほしいって努力した結果か…ふふっ、そう考えると微笑ましい。

横になった私の上に乗ってきて、体の全てを私に委ねているかずちゃんを見ると、安心する。

そして、それと同時にすごくムラムラしてきた。


「…やっぱり休憩なんて出来ませんね。一度求めたら、満足するまで待てなんて出来ないものですよ」

「そんな言い方したら、まるで私達が犬以下みたいじゃん」

「実際、全く自制できてないんですから獣以下ですよ。…それでも、そんな神林さんと過ごすこの時間が愛おしい」

「大人っぽくロマンチックな事を言っても無駄だよ。だって、可愛いもん」

「……う〜ん、神林さんの語彙力が落ちてるような…」


とにかくえっちがしたくてたまらない。

自制しようとすると、それに脳のリソースの大半を持っていかれるから何も考えられない。

そんな中でかずちゃんと話していたら…そりゃあ語彙力も落ちる。


ついに我慢ならなくなって、かずちゃんの秘部に触れると、待っていましたと言わんばかりにかずちゃんも私の秘部に触れてくる。


「30秒も経ってませんよ?本当に休憩出来ましたあぁっ!?」

「休憩なんて要らない…かずちゃんを好き放題したいぃっ!?」


30秒にも満たない程の僅かな時間だったけど、私達の心を蝕むには十分な時間。

一度強く快感を感じてからはもう止まれない。

愛液でびっしょり濡れた指でナカを掻き回す。

中途半端に時間を置いたせいで、《鋼の心》も《状態異常無効》も効かなくなってしまった。










止まることなく行為を続け落ち着いた頃に時計を見てみると、なんと時間は1時半。

3時間半もヤってたみたいだ。


「ふぅ〜…ふぅ〜…」

「はぁ……はぁ……」


肉に飢えた獣の如く、睨み合って息を吐く私達。

少し落ち着いたとは言え、媚薬の効果が強すぎて全然収まらない。

それどころか…


(…絶対本来は薄めて使うやつだよね?でも、水なんて用意されてなかったんだけど?)


後からゆっくり効いてくる、即効性よりも強い効果。

それが私とかずちゃんを狂わせる。


私達は、これでも一般人とは比べ物にならないくらいには精神力が強い。

…我慢強いとはまた別だけど、こういう効果にもある程度耐えられるくらいには精神力が強いんだ…でも、これは強すぎてその場から動かないようにするので精一杯。


(2本用意されてたけど…今日明日分って訳じゃないよね?1人1本ってことだよね?こんな劇物を?)


これアレだ。

もう勃たなくなった老人とかでさてとんでもない事になるやつだ。

…いや、老人が使ったら多分劇物過ぎて死ぬんだけど。

そのくらいやばい。

かずちゃんがさっきそっち系の漫画の媚薬みたいって言ってたけど…まさにそれの類。


(その手の漫画だと、コレ無しだと満足出来ない体になるのが普通だけどさ…コレは違うよ)


「ねぇ…催淫効果って回復魔法で解毒できないの?」

「出来たらやってますよ…香水の効果は解毒できますけど……これ、香水とは違う効果です」

「なんて面倒な…」

「しかも、これ魔法的な効果です。時間経過で体外に排出とかも起こりません」

「……どうするの?」

「…ヤる度に少しずつ効果が抜けていくのが分かりました。その…そう言う漫画の展開で、〇〇しないと出られない部屋、ってのありますよね?その類いですよこれ…」


あと何十回、何百回すれば良いのか知らないけど、コレをどうにかする方法は分かった。

ただ問題は…


「かずちゃん…私もう腰が…」

「私も腕が痛いです…それに…」


私達は、真っ赤になったお互いの秘部を見て頬を引き攣らせる。

理性だけでなく記憶も吹っ飛んだんだけど…一体どんな激しい行為をしてたんだろう。


「…優しく、優しくしてくださいね?」

「かずちゃんこそ…んんっ!」


恐る恐る再開するも、少し触れただけで凄く感じた。

…媚薬の影響で記憶が飛んでいる間に一体何が?


「神林さん…大丈夫ですかそ――あああっ!!!」

「かずちゃ、〜〜っ!!」


少しでも深く触ると高圧電流のような快感が私を刺激する。

自分でもびっくりするくらい愛液が溢れ出し、床が濡れている。

…こんなのホントに漫画くらいでしか見たことないんだけど?


…と言うか、刺激が強すぎて頭がおかしくなりそう…


「はぁ……はぁ……ん、んんっ…」

「ふぅー…ふぅー……あ、ああっ…」


お互い体を支え合って、ゆっくり…慎重に指を挿れていく。


「大丈夫ですか?神林さんがイッたら私も連鎖的にイクんですよ」

「それはかずちゃんも同じだよ。…マジで記憶が無い間に何があったの?」

「まあ…私達のここの様子を見るに想像には難くないですよ」


きっと…優しさとか愛情とか関係なし。

テクニックとか状況にあった触り方とか知った事じゃないって感じの、ほぼ暴力な行為があったに違いない。

…それでも、秘部が真っ赤になるくらい激しいやつって何?って感じだけど。

でも、実際やってたんだろうなぁ……記憶が残ってたら良かったのに…


「んっ…かずちゃん…ちょっと寄ってる」

「変に動かせないんですよ。神林さんも…それは、分かりますよね?」


軽く触れたからと言って、向きの調整は出来ない。

だって、それで別方向で強く振れてしまったらおしまいだから。

慎重に奥まで指を挿れると、私達は顔を見合わせて覚悟を決める。


「じゃあ……行くよ?」


私の言葉にかずちゃんは首を縦にふる。

その直後、同時に私達の弱い場所を削るような勢いで強く刺激した。


「「――――――ッ!!!」」


声にならない……もはや悲鳴のような声を上げ、私達は全身が痙攣する。

頭が…脳が物理的に破壊されそうな程の暴力的な快楽…

刺激が…あまりにも強すぎる。


それはもう…例えが思い浮かばないほどだ。

落雷?確かにそうかもね。

物理的に雷が私達に落ちてきたかのような衝撃。

そう錯覚する程の快楽が、私達を襲った…


「あっ……あ…」

「神林さ、ん…」


その場で体が痙攣して動けない、かずちゃんは回復魔法でなんとか痙攣を緩和しているのか、少しなら動けるみたい。

這うようにして私に近付き、その身を重ねて来る。


「大丈夫ですか…耐えられますか…」

「……ありがとう。ちょっと…楽になった」


私は、かずちゃんにのしかかられた状態で回復魔法をかけてもらい、なんとか復活。

でも、まだ余韻が残って頭がグワングワンする。

そんな私に、かずちゃんは胸に顔を近付けたかと思えば…私の乳首を口に含んで吸い始めた。


「か、かずちゃん!?何やってるの!?」

「……やっぱり、胸は大丈夫なんですね」

「…ホントだ。いつも通りって感じ」


チュパチュパと私の乳首を吸うかずちゃん。

しかし、下を触られた時のような瞬間的に感じることは無く、いつも通りの感覚がある。

…あと、まるで赤ちゃんのようなかずちゃんはいつも通り可愛い。


「…とりあえず好きにしてて。この効果を終わらせる方法が他にないか探すから」


かずちゃんには好きにさせてあげて、私は行為以外で効果を終わらせる方法を考える。

1番可能性が高いのは解毒薬だよね。

蝶の神が専用の解毒薬を用意してくれたらの話だけど…この特別製を何とかできるのはそれくらい。

後はスキルの効果。

《鋼の体》は試してないけど…うん、多分無理だ。

毒物なら耐性を上げてどうにか出来るけど、魔法的な効果だから耐性が上げられない。

あくまで、身体能力を超強化するのが《鋼の体》だからね。

そして、《鋼の心》では止められない事は分かってるし……やっぱりヤるしかないのかな?


「…媚薬以外でそう言う気分になれる道具でもあれば良いのに―――」

「……あるじゃないですか」

「あるね……なんかいつの間にか…」


ふと視界にさっきまで無かった何かが見えてそっちに視線が行く。

そこにあったのは、夜の営みで使う大人のおもちゃの山。


…そう言うことに関しては速攻で用意してくれるんだね。

そんなに私達にえっちさせたいか、蝶の神よ…


「…使う?」

「逆に聞きます。使わないって選択しはありますか?」

「無いね。今めっちゃそう言う気分だから」

「私もです」


お互いおもちゃを手に持つ。

完全にスイッチが入った。

私達は今度はハッキリと意識がある中で激しい営みを始める。

そして、なんとか夜明けまでに効果を終わらせることに成功したものの…


「………」

「………第二ラウンドです」

「望むところだよ」


今度は媚薬やおもちゃに頼らない。

私達の力だけで愛し合い、疲れ果てて気を失うように眠る頃には、辺りは暗くなっていた。





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