お笑いのネタを文章にしてみる

羽弦トリス

第1話ハローワーク

「35番のカードのお客様」

ハローワークの職員が呼んだ。

「なかなか、いい店だ」

「35番のお客様ですね?」

「オレが35番なら、一体あんたは何番なんだい?」

「……そう言うシステムなんです。山崎様ですよね?」

シルバーのシャツに黒いジャケット姿の男が答えた。

「人に名前を聞く前に、自分の名前を名乗る。違うかい?」

「……うわっ、めちゃくちゃめんどくせー。黒田です。こちらの椅子にお座り下さい」

「相席か……」

「こういう、システムなんです」

「いいだろう」

「ご年齢は、45歳ですね。前職はえーっと……!?何で、ナイススティック食べてんですか?辞めて下さい」

「ここは、腹が減ってもパンも食べさせてくらないのか?」

「終わってから食えよ」

「いいだろう」

「前職の欄に記入がないですが、どんなお仕事をされていたのですか?」

「朝、公園で子供達を遊ばせている人妻を眺めているのが仕事……」

「無職ですね。あなた、仕事する気あるの?」

「当たり前だ。後ろが詰まっている。先を急ごう」

「あんたのせいだよ」

「いいだろう」

「何ですか?さっきから、『いいだろう』って。では、何時から何時までのお仕事をお探しですか?」

黒田はPCを扱いながら、言った。

「オレは時間には縛られたくない」

「じゃ、1件も無いですよ!」

「分かった。いいだろう。オレを好きなように縛ってくれ!」

「何ですか?気持ち悪い」

「フハハハハ」

「どうかしましたか?」

「これを見ろっ!」

「ダイナマイトじゃ無いですかっ!」

「これで、オレもお前も人生のリセットだ。さらばアミーゴ」

山崎は姿を消した。数秒後戻り、黒田に言った。

「すいません。火を貸してもらえないでしょうか?」

「馬鹿じゃねーの?お前は」




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